一定条件を満たす販売事業者の自社配送商品をAmazonプライム対象に追加

アマゾンジャパンは、10月28日、「Amazonマーケットプレイス」の新しい配送サービスとして、販売事業者が自社配送する商品もAmazonプライム対象商品にできる「マケプレプライム」を発表した。すでに2016年夏から試験的に運用を開始し、10月31日に正式にローンチする。

新サービスの狙いは、Amazonプライム対象アイテム拡大によるプライム会員の利便性向上だ。Amazonが販売している商品は、直販・FBA(フルフィルメント by Amazon)・マーケットプレイスの三つに分類されるが、これまでプライム対象商品は直販・FBAのみだった。今後は「マケプレプライム」を利用することで、FBAを利用した商品と同様に「プライムマーク」が表示され、プライム会員であれば、配送料無料で「お急ぎ便」として受け取れる。

FBAは、Amazonの倉庫で商品の保管・注文処理・出荷・配送・返品に関するカスタマーサービスまで一括で引き受けるシステムで、業務を効率化しつつ、Amazonでの販売力を強化できるのが利点だ。しかし、在庫を大量に保管するとデメリットがあるロングテール商品や特別な管理が必要な商品には不向きな一面もあった。

セラーサービス事業本部の星健一事業本部長は「自社で他の販売チャネルの在庫と一括管理をしながら、Amazonという販売チャネルのメリットを最大限に活用できるのが新サービスの強み。FBAでは売れ筋商品、マケプレプライムでは在庫や品質管理が繊細な商品、というすみ分けが可能だ」とサービス利用時の判断基準を説明する。

「プライムマーク」を表示することで、訴求強化や検索画面上での露出拡大などが期待でき、販売力を強化できるという側面もある。先行実施の事例では、「マケプレプライム」の利用によって前年同期比で売上が一気に上昇した。アマゾンジャパンは、FBAと同等の売上拡大効果を期待できるのではないかと予測する。

会員は、配送時に「お急ぎ便」や時間指定が利用できるようになるほか、24時間365日対応のAmazonカスタマーサービスが適用され、配送後のサポート体制も充実する。

Amazonプライムの配送品質に対する信頼を維持するため、サービス利用者には一定の条件が課せられる。出品商品のお急ぎ便の正確な配達が96%以上、配送状況を確認できる商品が94%以上、出荷前のキャンセル率が1%以下の三つだ。条件をクリアしているか否かは、出品情報を管理するセラーセンターから確認することができる。

Amazonプライム会員は前年比で50%増を達成。3900円の年会費だけで利用できるクラウドストレージや見放題の動画配信、オンデマンド型の定額制音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」といった独自のサービスも新規会員獲得に一役買っているとみられるが、会員をつなぎとめるには、配送サービスやプライム会員先行タイムセールなど、本分であるショッピングに関するメリットを強化し続ける必要がある。

直販やFBAと同質の配送・サポート品質を維持できるかは、サービスの本格稼働までは未知数だが、Amazon・販売事業者・会員にとってメリットのあるシステムとして期待がもてそうだ。(BCN・大蔵 大輔)