【暫定第3位】『ダイ・ビューティフル』 満足度:82.1点

ダイ・ビューティフル © The IdeaFirst Company Octobertrain Films

俳優:4.8

ストーリー:4.2

音楽:3.2

演出:4

第3位につけているのが、トランスジェンダーのヒロイン(?)の笑いと涙に満ちた一風変わった人生を豊かに描き出すタイのヒューマンコメディ『ダイ・ビューティフル』。突然死してしまった彼女の、埋葬前の幾夜もの儀式で毎回異なるセレブの衣裳をまとうという生前の望みをかなえるべく友人たちが奮闘! 息子、姉、母、友、恋人、妻、そして女王としての人生が綴られていく。

死者の願いをかなえることで、彼女の人生を描き出すという物語の巧みな構成について「フラッシュバックをうまく使っており、面白い」という感想が寄せられている。また、死を描きつつも暗くならず、マイノリティをテーマにしつつも普遍性を持った物語に称賛が相次いでおり、観客賞、そしてグランプリを十分に狙えそう。

俳優陣の演技力に加え、美女コンテストなど、フィリピンらしいゴージャス&カラフルな演出も魅力で「感動と笑いのバランスも良い」などポジティブな感想が目立った。

【暫定2位】『雪女』 満足度:82.2点

雪女 © Snow Woman Film Partners

俳優:4.5

ストーリー:3.9

音楽:4.2

演出:4

現時点で第2位の好位置につけているのが、日本から出品された2作のうちのひとつで、小泉八雲の古典を原作にした『雪女』。俳優として活躍する杉野妃希がメガホンを握ってるが、その演出力、特に雪のシーンの映像の美しさに言及した感想が多く「本物の自然の雪が映し出されており、リアルで神がかった美しさでした」といった声が寄せられた。

日本人にとっては良く知られた物語だが、解釈の余地を残して描いている点に関しても「考えさせられた」「見る人によってさまざまな解釈ができて面白い」という声も。こうした日本ならではともいえる神秘性を描いた点について「海外での評価がどうなるのか聞いてみたい」と「日本代表として世界に出せるセンシティブな映画になっている」というポジティブな声が寄せられていた。

【暫定1位】『7分間』 満足度:86.0点

7分間 © Goldenart Production S.r.l. - Manny Films - Ventura Film - 2016

俳優:4.5

ストーリー:4.4

音楽:3.6

演出:4.1

現時点で、平均86.0点という高得点をたたき出した『7分間』。イタリアで俳優としても活躍するミケーレ・プラチド監督の作品で、リストラ計画が進む工場を舞台に、イタリアの女性労働者とフランスの資本家の交渉を描いており、それぞれに事情を抱えた女性たちの揺れ動く心理をスリリングに描き出す。

厳しい経済状況が続くイタリアの現況を描いているが「世界中で伝わる内容になっている」「世界のどこにでもある、労働者の尊厳を守るための戦う女性の姿が素晴らしい」と普遍性を持ち、時代を映した物語に高評価が。

また複数の観客が法廷劇「『12人の怒れる男たち』を思い出した」という感想をつづっており、息詰まるサスペンス、会話劇の面白さを評価する声も多数寄せられていた。項目別では「俳優」が4.5の高得点を記録しており、戦うイタリアの女たちの姿が大いに共感を呼んだよう。

 

まだ半分を終えたに過ぎないが、ここまでの評価では労働者やマイノリティといった社会派のテーマを巧みに取り込んだ作品が、ラブストーリーよりも高い評価を集めている。その中で、『雪女』が日本の古典的な物語を原作に、独特の美で勝負し、高い評価を得ているのは特筆すべきこと!

過去28回の歴史の中で、日本映画のグランプリ受賞は第1回の『台風クラブ』(相米慎二監督)、第18回の『雪に願うこと』(根岸吉太郎監督)の2作のみ。3作目の日本作品受賞の期待はもちろんだが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が『アモーレス・ペロス』で第13回のグランプリを受賞し、その後、世界的大監督になったり、『最強のふたり』が2011年にグランプリと観客賞をW受賞し、世界的な大ヒットへとつなげていったように、新たな才能がここから芽吹き、世界的な活躍をすることにも期待したい。

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