本作では、劇中劇として、花組による「海神別荘」(作:泉水鏡花)の公演が行われますが、当時、夏の歌謡ショウの舞台でも「海神別荘」の芝居を演じ、その後映画のアフレコに入った横山さんは、歌謡ショウでの声援やライトを浴びた感覚のおかげで、真宮寺さくらに“なりきった”状態で芝居ができたそうです。

「お仕事は、こういうタイミングでこういうふうに返そう…とか、とても計算をしながらするものなんですが、それを一線超えてなりきった“憑依体験”をしたような素敵なアフレコができたんです」とのこと。

当時、テレビ番組に袴にリボンの衣装で出演したり、藤岡弘、さん演じるセガサターンのイメージキャラクター「せがた三四郎」とCM共演など、等身大の真宮寺さくらとしての姿をファンに見せることが非常に多かった横山さんですが、あのころ、まさに身も心も“さくら”になりきっていたことが伺えました。

「なんかいくらでも語れてしまうね」と、次から次に「サクラ」の思い出を笑顔で語った横山さん。最後は「こうして20年間愛してもらっている作品に出会えたことがとてもうれしいし、これを大切に、20年、30年、なんなら欲張って40年がんばっていきたいので、心の隅にサクラ大戦を置いていただき、何かの機会にまた会いに来ていただけたらうれしい」と新たな決意とメッセージで締めくくり、トークショーは幕を閉じました。

大正時代の帝都東京を舞台に、人々を脅かす降魔と戦う「帝国華撃団」の少女たちの活躍を描いた「サクラ大戦」。1996年、セガサターンソフトとして発売され、その後、CDドラマ、アニメ、「サクラ大戦歌謡ショウ」やミュージカルなど、多彩なメディアミックスを展開。マルチエンタテイメントとして、多くのファンに愛され続けている作品です。

イベント当日、会場は満席となっており、多数のお客さんが当時5億円をかけて製作されたという「サクラ大戦 活動写真」の迫力の映像を、この日のために三間雅文音響監督が監修したという“極上”の爆音ともに楽しみ、上映後は拍手が起きました。

20周年を迎えた「サクラ大戦」ですが、その人気はまだまだ衰えぬ様子。横山さんの語った「40年」も決して欲張った夢ではなさそうです。

フリーランス・ライター。雑誌、書籍、Webメディアで、幅広いジャンルの仕事をこなし、現在は、映画・マンガ・音楽などエンターテイメントを軸に活動中。「サイボーグ009」を始めとする石ノ森章太郎作品フリーク。