「ZenFone 3」はDSDSに対応。美しいデザインと高いスペックも魅力

SIMフリースマートフォンは、「格安SIM」と呼ばれる、低料金のMVNOサービスとともに伸びてきた。廉価な端末と組み合わせ、「安さ」をアピールしてきたMVNO各社は、ここにきて、ASUSの「ZenFone 3」シリーズをはじめ、高性能で、ユーザビリティに優れたハイエンドモデルを端末ラインアップに加え、より多くのユーザーのニーズを取り込もうとしている。狙いは、ずばり、大手キャリアからの乗り換えだ。

「ZenFone 3」発売後、ASUSのシェアが急上昇、30%を超える

9月28日、ASUSのZenFoneシリーズの新モデル「ZenFone 3(ZE520KL)」の日本での正式発売と価格が発表されると、海外で評判の高い「ZenFone 3」の国内発売を待ち望んでいたスマホ愛好者の一部からは「高すぎる」というため息がもれた。

しかし、同時に発表した3機種のうち、5.2インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載した10月7日発売の「ZenFone 3(ZE520KL)」は品薄、アンテナのラインが見えないオールメタルのユニボディを採用し、5.7インチのフルHD Super AMOLEDディスプレイを搭載した最上位モデル「ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)」は予想を上回る予約注文が殺到し、発売前にいったん受注停止になるなど、蓋を開けると、売れ行きは好調で、反響は高い。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の週次データで、SIMフリースマートフォンのメーカー別販売台数シェアの動きをみると、「ZenFone 3(ZE520KL)」の発売日の10月7日を含む、10月第1週(2016年10月3日~9日)からASUSが急上昇。前週に比べ、10ポイント弱アップしてトップに立った。以降、最大シェア35.2%を占め、5週連続で1位を獲得している。

さらに10月の月間シェアでもASUSが31.6%を占め、1位を獲得。「ZenFone Go」発売直後の5月以来、買い控えの影響もあり、2位に甘んじていたが、再びトップに返り咲いた。原動力は、最新機種の「ZenFone 3」シリーズと、2度目の値下げで、税別実勢価格がついに2万円を切った「ZenFone 2 Laser(ZE500KL)」だ。

10月のスマートフォン全体の販売台数に占めるSIMフリーモデルの割合は15.1%。過去最高だった8月の18.9%より若干下がった。しかしこれは、新iPhoneの発売が一時的に影響しているだけで、SIMフリースマホ拡大の流れは続いている。

DSDS・au VoLTEに対応 ZenFone 3シリーズのコスパは抜群

「ZenFone 3(ZE520KL)」は、1600/800万画素のカメラ、オクタコアCPU、3GBのメモリ、32GBのストレージを搭載。最大の特徴は、大手キャリアとMVNOの2枚のSIMカードを挿入して4G(LTE)/3Gの同時待ち受けが可能な「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」。従来も、4G/3Gと日本では使われていない2Gの同時待ち受けに対応していたが、待望の4G/3Gでの同時待ち受けに対応した。

新たに4K動画が撮影できるよう進化したカメラ機能も大きな特徴の一つだ。カラーは、サファイアブラックとパールホワイトの2色。税別実勢価格は3万9800円前後。

ASUSは、「ZenFone 3」シリーズの日本での発売にあたり、日本のユーザーの声に耳を傾け、従来機種で大きすぎると不評だったシャッターボリューム音を、業界の自主規制を守りつつも小さくして使い勝手に配慮するなど、独自のチューニングを行ったという。また、日本版独自の仕様として、au VoLTEとキャリアアグリゲーションに対応し、通信速度も向上した。au VoLTE端末同士なら、VoLTEによる高音質な通話ができる。

au VoLTE対応によって、ドコモ/au/ソフトバンク系すべてのMVNOで利用できるマルチキャリア対応を果たし、SIMフリートップメーカーの神髄を見せつけた。ASUSの高い評価は、日本の通信環境にきちんと適合させるローカライズ力と、そのスピードに裏打ちされたものだ。

タブレットの「ZenPad 3 8.0」も好調で、ハイエンド機種も積極的なASUS

またASUSは、「ZenFone」やノートPC「ZenBook」と共通する「禅(Zen)」のコンセプトを踏襲したタブレット端末「ZenPad」シリーズを2015年秋から展開。「ZenFone 3」に先立ち、9月18日に、2K(2048×1536)対応の7.9インチ液晶を搭載し、音声通話もできるSIMフリータブレット「ZenPad 3 8.0(Z581KL-BK32S4)」を発売した。スマホ同様、ASUSの販売台数シェアは上昇し、10月は、タブレット全体では2位、Androidタブレットでは1位を獲得した。

独自の映像解析技術「Visual Master」、「Tru2Life+」テクノロジーによってモーションブラー(カクつき)を大幅に低減し、スムーズな描画を実現。これは他社製品には見られない特徴だ。ヘキサコアCPUなども搭載しながら、軽量・コンパクトで実用的な「ZenPad 3 8.0」は、iPad一色だったタブレットの流れを変えた「Nexus 7」以降、これまで培ってきた技術の集大成といえる。

今年5月に発売した「Zenfone Go」は実売1万円台の廉価モデルだったが、今秋発売の「ZenFone 3」シリーズや「ZenPad 3 8.0」では、最新技術を惜しげもなく注ぎ込み、ハイエンド製品への幅も、さらに広げた。

CPUにQualcommのSnapdragon 800シリーズを採用し、256GBの大容量ストレージ、6GBのメモリを搭載するハイエンドスマホ「ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)」は、通信方式として、日本で主流の3G(W-CDMA)はもちろん、auやアメリカのキャリア大手ベライゾンが利用する3G(CDMA2000)にも対応し、まさにモンスタースペック。税別実勢価格8万9800円という高値にも関わらず、予約が殺到する状況は驚愕というしかない。データ通信専用の2台目としてだけではなく、メイン端末としてSIMフリースマホを選ぶ人が増えてきた表れともいえるだろう。

とかく安さに注目が集まり「格安スマホ」とも言われてきたSIMフリースマホだが、もはやそうした呼び名はふさわしくない。トップクラスの「性能・機能・デザイン」を備えたうえで、価格でも競う第2ステージに入ったといえる。ASUSの「ZenFone 3」シリーズは、そのハイエンド競争で一歩抜きん出る存在になりそうだ。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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