『この世界の片隅に』初日舞台あいさつに登壇したのん

こうの史代の同名漫画を長編アニメ化した『この世界の片隅に』の初日舞台あいさつが11月12日、東京・テアトル新宿で行われ、本作で声優初挑戦を果たした女優ののんをはじめ、片渕須直監督、音楽を手がけるコトリンゴが出席した。

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昭和19年から20年の広島を舞台に、呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずが、戦況が悪化し、あらゆるものが欠乏していく中でも前を向き、日々を大切に生きようとする姿を描く。すでにイギリス、フランス、ドイツ、メキシコ、南米諸国をはじめ世界14か国で公開されることが決まっている。

印象に残るシーンについて、のんは「やっぱりお料理をするシーンですね。節約する方法を調べたり、着物をリサイクルしたり、すずさんが一生懸命に生活を楽しんでいる姿がすてき」とコメント。自身は「生活する才能がない。毎日ごはんを3食食べたり、洗濯するのが苦手」だというが、「この作品がきっかけに、生活するのが楽しくなった」と話した。

また、「お仕事に集中すると、ごはんを食べるのも忘れてしまうと聞いた」と片渕監督の素顔を明かすと、当の片渕監督が「そういえば、のんさんが差し入れで、焼きそばパンを買ってきてくれた」とうれしそうな表情を浮かべる場面もあった。

完成までに6年の歳月を費やした片渕監督は、「4人で(製作を)始めた作品を、クラウドファンディングなどで応援が増えて、たくさんの皆さんと完成させることができた。公開初日を迎えられたのは、僕だけの手柄じゃないことをご記憶いただければ」と感無量。コトリンゴは「作品に参加できてすごく幸せです。一生の宝物になりました」としみじみ語った。

『この世界の片隅に』
公開中

取材・文・写真:内田 涼