このように、ガイドラインに載っている計算式を少し知っているだけでも、立会業者のいいなりにならず、損をせずに済みますので、覚えておきましょう。

4.退去時費用の相場は

借主には「善管注意義務」というものがありますが、ご存知でしょうか?

「善管注意義務」とは、通常期待される注意義務のことを言い、それを怠れば民法上は過失があると見なされます。

よって、借主に期待される注意義務とは、通常使用における小さな傷や汚れは善管注意義務違反とはならず、ペットなどによる大きな引っかき傷や、大きな物を落とし、床を凹ませるといった行為は、善管注意義務違反となりますね。

善管注意義務を守り、普通に住んでいた人の退去費用の相場は、ほぼ「ルームクリーニング費用のみ」となります。(※契約時の特約でルームクリーニング費用は借主負担になっていた場合)

そのルームクリーニング費用も、契約時に1式いくらと定めがあれば、それ以上取られることはありませんが、問題は「敷金預かり」と「敷金もルームクリーニング費用も預かりなし」で契約している場合です。

無知の借主は、ワンルームのルームクリーニング費用の相場がいくらか分かりませんよね?

現場を長年担当した私の感触では、ワンルームで、30,000円~35,000円、2DKで40,000円~45,000円、3LDKで、50,000円~60,000円が相場であると思います。(※東京都の賃貸物件相場です。)

よって、明らかな借主の過失部分の損傷部分と、ルームクリーニング費用以外にあれもこれも請求された場合は、少し疑問を持つようにし、質問をしてみるようにしましょう。

5.借主・借主負担どっち? 事例を交えてご紹介

では、この場合って借主・貸主どっちの負担なの?とよく思うところをピックアップし、事例を交えてご紹介してみたいと思います。

設備(エアコン・照明器具など)

設備については、通常使用していて故障した分については、貸主負担となります。

動きが悪い、または調子が悪い事に気づいていたにも関わらず放置していて完全に動かなくなり、故障に至った場合は借主負担となる場合があります。

不具合に気づいた段階ですぐ、管理会社に連絡をするようにしましょう。

もちろん、使い方を誤り、通常使用とはかけ離れた使い方をするなど、借主に過失があると認められた場合は、借主負担となります。

水回り(風呂・洗面台・トイレなど)

一番多いトラブルが、「カビ」です。

水回りはどうしてもカビが繁殖しやすく、一度出るとすぐに広がります。

カビ対策は、実は借主の役目であり、発生させてしまった場合は除去など自己負担で行う必要があります。

また、水垢についても借主の自己責任となりますので、注意しましょう。