Jリーグ最多17冠は伊達ではなかった。鹿島アントラーズが『明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ』決勝進出を決めた。11月23日、一発勝負の準決勝で、川崎フロンターレを1-0で下したのだ。舞台はアウェイ、引き分けでも準決勝敗退というビハインドを跳ね返したのだった。
シュート数は川崎Fの11本に対し、鹿島は10本。しかし、決定機は川崎Fが完全に上回った。50分、左SB山本脩斗のクロスをFW金崎夢生が技ありヘッドでゴールネットを揺らした。2ndステージはわずか2ゴールに終わったFWが、まさにワンチャンスを決めたのだ。
鹿島が凄みを見せ付けたのは、ゴールシーンだけではない。守備だ。コンパクトな守備ラインを形成し、川崎Fに縦パスを入れさせない。横へ横へパスを回し攻めあぐねる川崎Fに対し、次々とプレッシャーをかけ、ボールを奪取し、カウンターへつなげた。球際でも勝ったのだ。
中盤の底では、黄金時代を知る小笠原満男が目を光らせていた。途中出場したMF中村憲剛に激しいチェックを見せるのは当たり前。マークが甘ければ、周囲に的確な指示を与え、ピンチを未然に防いだ。
試合後、小笠原はしっかり課題を見つけていた。「勝てたことはよかったが、まだ何も手にしていない。決勝への切符を取っただけ。そこで勝ってこそ。1点取った後の試合運びに課題がある。勝って喜ぶだけではなく、しっかりと修正しないと、次は難しくなる」と決勝を睨んだ。さらに「攻撃に行きたい選手をどうまとめたのか」と質問が飛ぶと、37歳のキャプテンは「そういう選手はこのチームにいらない。やっぱり勝つためにやっているので」とキッパリ。
11月17日、『明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ』出場クラブ合同記者会見の席で、浦和レッズの柏木陽介は「準決勝で1試合やった方が勢いが出るので難しいゲームになる」と警戒した。さらに決勝の相手について「鹿島は勝負強さがあるので嫌な感じがする」と言及していた。
だが、必要以上に鹿島を恐れる必要はない。柏木も「自分たちの築いてきたものを出せば、結果は付いてくる。ブレずにやりたい」と語った通り、浦和には最多勝点を積み上げたリーグ戦と『2016JリーグYBCルヴァンカップ』を制した実績がある。鹿島との直接対決も過去5シーズン、7勝2分1敗と圧倒している。
『明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ』決勝第1戦は11月29日(火)・茨城県立カシマサッカースタジアム、第2戦は12月3日(土)・埼玉スタジアム2002にてキックオフ。第1戦のチケットは11月25日(金)午前10時より一般発売。第2戦のチケットは予定枚数終了。