笑福亭鶴瓶 ニッポン放送「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」にて 撮影:源賀津己

鶴瓶噺の魅力を剣豪にたとえるなら、一見隙がありそうなのになぜか打ち込めない自然体ということ。「うぉりゃー」などと雄々しく叫ばずに「この間ね」と静かなトーンで、すっとしゃべり始める。「日常を描きたいんです」と語る笑福亭鶴瓶が、本番を2か月前に控えたこの日までにセレクトした噺の素は643個。まずは、噺の素との出会い方から話を聞いた。

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「ふだんから、おもしろいことがうまれろなんて一切考えたことがないんです。正月なんて家族と一緒にぼーっとしていたいし、1年の目標を立てたこともないし(笑)。でもね、なぜか出会ってしまうんですよ。正月のハワイのホテルでも、ものすごくかわいらしい赤ちゃんが気になって。隣りのお母さんもキレイな人で、ふっとその横を見たらボクシング4階級制覇王者の井岡(一翔)やったんですよ。彼とは仲がいいから言えるんですけど“お前が1番目立ってないわ”って(笑)。自分でも不思議なんですけど、なにかが起きる時って、こっちが自然にしているよなぁとは思います」

興味深い鶴瓶の休日だが、鶴瓶噺のトピックスは有名人から大阪のおばちゃんまでと幅広いのが魅力。さらにラストは、しゃべりと映像のコラボで締めくくられる。

「今回のラストは、落語の世界の師弟や弟子同士の関係性がテーマになりそうです。落語の世界って、人間国宝にもなられた桂米朝師匠が、ご自身の師匠から言われた言葉がすべてだと思うんですけど“芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前”ですから。なのに、いまの時代はパワハラってすぐに言われるでしょ? その言葉、落語家には無縁というか、ほっといてほしい(笑)。僕も師匠から怒られましたし、弟子には怒る。嵐の晩もあるから平和な1日がありがたいわけで、むしろ、思いっきり怒られたほうが向上するんです。うちにも怒られて1回クビになって戻した“べ瓶”という弟子がいます。戻す前は築地の市場に勤めたり観光バスの運転手をやったりしてたんですけど、そういう経験のおかげもあって、最近はかなりおもしろい。ただ、アホですけどね。関西弁で、最下位やビリのことを“べべ”と言うんですけど、“師匠、ひらがなで“べべ”ってどうですか?”なんて平気で言うんです。お前は誰の弟子やねんと。鶴瓶の瓶はいらんのかって(笑)」

自然体で、すっとしゃべり始めてラストまで疾走する約2時間。剣豪的べしゃりの達人は、刀を抜く代わりに観客を笑顔にする。

公演は4月1日(水)から5日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて、4月15日(水)から19日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。2月15日(土)午前10時より一般発売開始。

取材・文:唐澤和也

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