5.「六千牛肉湯」の牛肉湯とごはん

「六千牛肉湯」の牛肉湯とごはん

豚を常食とする台湾人にとって、牛肉はかなりのぜいたく品だ。豚肉と比べ飼育数も圧倒的に少ないため、台湾国産牛は高級とされる。

そんな牛肉の美味しい食べ方のひとつが牛肉湯(ニョウロウタン)。

台北ではほとんどお目にかかれないが、南部の食の都、台南には有名店がいくつもある。

人気店「六千牛肉湯」では、その日の早朝にさばかれた生の牛肉を女将が丁寧にスライスし、椀に入れる。そこへアツアツの出し汁をさっと注ぐと、赤い牛肉がさっとピンク色に変わり、湯気を上げる。新鮮な国産牛はとろけるように柔らかく、肉の旨味もたっぷり味わえる。早朝5時から行列ができるのもうなずける。

まずはスープを一口すすり、牛肉を醤油ダレと刻みショウガとともにいただく。次はスープと一緒に牛肉を味わう。最後に白米と牛肉を一緒に頬張る。台南のぜいたくな朝ごはんだ。1椀130元。

 

六千牛肉湯(リョウチェンニョウロウタン) 台南
台南市海安路一段63號 TEL:06-2227-603
5:00~8:30 不定休

 

6.包成羊肉」の清湯羊肉

「包成羊肉」の清湯羊肉

羊肉湯(ヤンロウ/ラム肉)は台湾では日本以上に一般的な食材。ラム鍋、ラム煮込みなど食べ方も多彩だ。

台湾中南部の産地から直送される新鮮なラム肉を数時間のうちにさばき、店頭に出すのが台南の「包成羊肉」という朝食店。前出の牛肉湯と同様、鮮度の高さが売りのご当地グルメだ。

この店では生のラム肉の薄切りを煮込んだものをスープごとでいただくのが基本。

スープには澄まし汁タイプの清湯羊肉(小130元)と漢方風味の当帰羊肉(小130元)の2種類がある。当帰はラムと相性がよい。

身体をあたためるため、特に冬場は人気だ。アツアツのスープでピンク色に変わったラム肉はふんわり柔らかく、そして白く浮き立つラムの脂は甘く、香ばしい。

また、さっと湯通ししたラムのレバーは臭みはないが上品なコクがあり、食べやすい。

 

包成羊湯(バオチェンヤンロウ)
台南市台府前路一段425號 TEL:06-2138-192
5:00~11:00 月曜日

 

7.「雞伯燒酒雞」の脆皮雞肉(ツエピージーロウ)

「雞伯燒酒雞」の脆皮雞肉(ツエピージーロウ)

台湾人は鶏肉の調理にも長けている。唐揚げ、煮込み料理などあらゆる場面で登場するが、鶏肉の旨味を最大に活かした食べ方は「脆皮雞肉」(ツエピージーロウ)ではないだろうか。

「脆皮」はこんがり焼かれた皮という意味。つまりパリッとした皮付きの鶏肉料理のことだ。高雄の「雞伯燒酒雞」はパリ皮チキンの王様とも言うべき人気店。

丸ごと1羽、または半羽の鶏肉(320元)を予め予約してレストランに向かう。焼き時間がかかるので来店してからの注文だと30分は待たされるのだ。店に着けば数分で大皿に豪快に盛られたパリ皮チキンにお目にかかれる。

こんがりと焼かれた皮は、軽快な噛み味。そして、肉を口に入れると汁気と旨味がジュワッと広がる。

風味もいろいろで、看板メニューの塩蒸し鶏以外に、蜜漬け鶏、ゴマ油炒めなどもある。

雞伯燒酒雞(ジーボーサオジョウジー) 高雄
高雄市自立二路3-5號 TEL:07-2816-665
17:00~3:00 無休

 

みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。