阿部勇樹(浦和レッズ) (c)J.LEAGUE PHOTOS 阿部勇樹(浦和レッズ) (c)J.LEAGUE PHOTOS

1-0。アウェイで勝利した浦和レッズはJ1制覇に王手をかけ、ホームで痛い星を落とした鹿島アントラーズは窮地に追い込まれた……とは、両軍の指揮官は見ていない。

浦和・ペトロヴィッチ監督は試合後、「今日の結果をもって、我々が有利だと思うのは大きな間違いだ。我々は決していい戦いをして勝ったわけではない。本来の力を出せていないゲームだった。非常にいい準備をして次の試合に臨まなければ、我々が求める結果を得ることはできないだろう。なぜなら、鹿島は非常に強いチームだからだ」と警戒を深めた。

一方の鹿島・石井正忠監督は「前半が終わったという形なので、この3日間をかけて次の第2戦に向かいたい。失点した後の戦いは理想的だった思う。自分たちからボールを奪いに行きつつ、相手陣内でボールを動かすということが重要。そのために、交代の選手を今日は入れ、要望通りの動きをしてくれた。また次の試合への期待が高まった」と手応えを口にした。

『明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ』決勝第1戦は、緊張感が張り詰める展開となった。互いに球際で激しい肉弾戦を見せ、素早い攻守の切り替えを実践した。ともにしっかり組織だったディフェンスを保ち、相手に決定機を許さなかった。相手を崩してのシュートシーンと言えば、44分・阿部勇樹のスルーパスを受けた武藤雄樹の右足のシュートと、51分・土居聖真のパスに抜け出した遠藤康の右足のシュートくらいか。どちらのチャンスも、曽ヶ端準、西川周作の両GKに阻まれたのだった。

58分に阿部がPKを決めた浦和だが、ポゼッションは50%、シュート数も鹿島の半数以下の5本とらしくない内容だった。守備は前半はシュート0に防ぐなど、安定感を見せたが、なかなかフィニッシュにつなげなかった。ただ、浦和にとってこの日は17日ぶりの公式戦で試合勘が鈍っていたことを加味すれば、次戦でのアタックの改善に期待が持てる。

鹿島は守備だけではなく、攻撃でも光明を見出した。1か月戦線離脱していた背番号10・柴崎岳が62分に投入されると、アタックが活性化した。高い位置でボールが素早く回り、2列目、SBからの飛び出しも見られたのだ。第2戦は複数得点を奪った上での勝利がタイトル奪還の絶対条件である鹿島にとって、柴崎の復帰は明るい材料である。

果たして、栄冠に輝くのは10年ぶり2度目の浦和か、7年ぶり8度目の鹿島か。決着の時となる『明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ』決勝第2戦は12月3日(土)・埼玉スタジアム2002にてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はNHK総合、スカパー!で生中継。

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