牧宗孝 牧宗孝

舞台の共同制作・上演を通じてアジアのダンスの交流を目指し、2014年にスタートしたプロジェクト「ダンス・ダンス・アジア(DDA)」。3年目の今年は、アジア6か国のダンサーたちが3グループに分かれ、日本の牧宗孝、フィリピンのVince Mendoza、ベトナムのLION Tの振付・演出の作品を踊る。

DANCE DANCE ASIA チケット情報

11月某日、牧作品『BLACK LIP BOYZ』の稽古場では、牧と演出助手のBOWが見守る中、5人のダンサーがキレキレの踊りを展開していた。肩や腕をくねらせたり、口元にスプレーを吹きかけるような仕草をしたり、指を挑発的に前に突き出したり。妖しさ漂うクールでユニークな振付を、ダンサー達自ら、英語や片言の日本語で確認し合っていく。彼らは牧がワークショップや公演時に出会った、15~25歳の逸材だという。「10月のチラシ撮影時に誰かが黒のリップを塗りたいと言い始め、他のメンバーが『僕も』と言って、この公演タイトルになりました。それぞれダンスのスタイルは違いますが、踊る時の美意識やパッションは共通点すると思います」と牧は語る。

「フィリピンのEl-JohnとRenzとは昨年、DDAマニラ公演の際に知り合いました。狭き門であるG-Forceというエリート集団に入って活動しているのでタフだし、バレエや体操などを基礎とする筋肉とエナジーが素晴らしいんです。Renzはフェミニンで『私はこういう美が好き』という主張が強いダンサーだし、El Johnはバイセクシャルだからか、女の子っぽさもジェントルマンな雰囲気も出せるダンサーです。マレーシアのTeddyは、ゲイだとカミングアウトしたところマフィアのお父さんに殺されそうになって家を飛び出すという壮絶な経験の持ち主。だからなのか、彼が踊る時は戦っているように見える。実際、バトラーでもあって、アンダーグラウンドのバトルでひとり、ガーリーな恰好をして戦う姿がカッコいいです。台湾のA-Yaoは高校生のころ、私が台湾で行なったワークショップを受けにきて。数年後に私がショーに出演するために台湾に行った時、ショーのイベントのバトルに出てすぐ負けちゃったんだけど、その踊りがとてもエレガントでボディコントロールがすごくて、思わず『私にはあなたがナンバーワン』と言いに行きました。日本のkEnkEnは15歳ですが、両親がダンサーで、2歳頃から踊っているので、ダンス歴は私と同じ位。音の取り方やリズム感などに真似できない天性のものがあり、末恐ろしい才能と可能性を感じるダンサーですね」。

彼らが火花を散らす姿を、牧は「ショーガール」と称する。「仲良しなんだけど、皆、『私がセンター。私を見て』という強さを持っている。今回はディープな思想を込めるのではなく、それぞれが持つ個性を生かし、『これ、おしゃれ! ファビュラス!!』といった感じの、ライトで華やかな世界を作りたいと考えています」。

公演は12月9日(金)から11日(日)まで、東京芸術劇場 シアターイーストにて。

取材・文:高橋彩子

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