『おおきく振りかぶって 秋の大会編』 撮影:源賀津己

ダブルヘッダー特別公演『おおきく振りかぶって』『おおきく振りかぶって 秋の大会編』が上演中。今回は、2月15日に初日を迎えた新作『秋の大会編』におけるゲネプロの様子をレポートする。

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ひぐちアサの野球マンガ『おおきく振りかぶって』を、成井豊の脚本・演出によって舞台化する本シリーズ。キャストには、主人公・西浦高校ピッチャーの三橋廉役を演じる西銘駿をはじめ、三橋とバッテリーを組むキャッチャー・阿部隆也役の大橋典之、本作のメイン対戦校である武蔵野第一高校ピッチャー・榛名元希役の神永圭佑、同校キャッチャー・秋丸恭平役の佐伯亮らが名を連ねた。

ゲネプロは、前作『夏の大会編』で美丞大狭山高校に負け、5回戦敗退となった西浦高校野球部の再出発シーンから始まる。メンバー全員でチームの目標を定めるべく気持ちをひとつにしようとした瞬間、TVアニメ版『夏の大会編』の冒頭を飾った主題歌・Galileo Galilei『夏空』のイントロが流れ、オープニングのダンスへ突入。卑屈で気弱なキャラクターの三橋に扮する西銘も、ここは笑顔で伸びやかな動きを見せていた。

本作は、西浦のメンバーが観戦する武蔵野第一高校vs ARC学園高校(夏大会準決勝)、そして西浦高校vs武蔵野第一高校(秋大会2回戦)の2試合が展開される。プロを目指す実力者であるがゆえに“ワンマン”ぶりが目立つ剛腕サウスポー・榛名を、神永は傍若無人ながらもチャーミングに造形。勝利や成長への貪欲さに欠ける秋丸が正捕手としてのプライド、さらに榛名とのバッテリーに目覚めていくさまを、佐伯はくっきり鮮やかに表現した。

もちろん、主役校・西浦高校における三橋・阿部バッテリーの活躍も健在。開幕前の囲み取材で、大橋が「三橋を引っ張る存在だった阿部が彼を認め、手を組む必要性を感じたのが前作まで」「今回は三橋と手を取り合った上でどんな試合運びや関係性に現れるか、ご覧ください」と述べていた通り、ボールカウントごとの心理戦でトライ&エラーを繰り返し、信頼関係を育んでいくふたりの絆にも注目だ。

ステージ上に再現された球場を駆け回るキャストらの奮闘によって、新作もテンポよく試合が展開。一方で、緩急自在のストップモーションが印象的な場面も。どこで繰り広げられているか、ぜひ劇場で確かめて欲しい。上演時間は約120分(休憩なし)。

公演は2月24日(月・祝)まで、東京・サンシャイン劇場にて。チケットぴあでは現在、当日引換券を販売中。

取材・文:岡山朋代