北九州芸術劇場クリエイション・シリーズ 「まつわる紐、ほどけば風」

劇場のスタッフとアーティストが2年という長期間に渡り創作に向き合い、新たな演劇作品を生み出す新シリーズが、2018年4月より北九州芸術劇場で始動。第1弾となる本作は、関西を拠点に活動する劇団太陽族の岩崎正裕が作・演出。約1年半をかけて北九州の様々な場所を巡り、人々に出会い、2月上旬より本格的な稽古を開始した。社会派としても知られる岩崎が本作で描くのは“現代女性の生き方”。3名の女性を軸に、結婚、家庭と仕事、不妊治療やLGBTなど社会を取り巻く様々なキーワードも織り交ぜながら物語が描かれるという。

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「九州の女性たちは飲み会の場でもよく立ち働きますよね。女性が少し控えめで、コミュニケーションの取り方が関西とちょっと違うというか、関西では男性にも割と対等に突っ込むんですよね。その外に出せない何かを女性たちは抱えてるんじゃないか、現代における女性を描いてみたい、というのが着想の始まりでした。中心になるのは3人の女性で、ひとりは40代で独身、古い一軒家に住んでいる。もうひとりは夫が医者で、外に出たいけど夫は家にいてほしいと暗に強制されている。もう1人は不妊治療を続けながらもなかなか子どもが出来ず親族たちからの視線にも悩んでいる、という設定です。でも男性女性の二元論だけでは何か取りこぼしそうな気がして、現代においてはLGBTの事に触れざるを得ないだろうと。自分は女性と認識していて女性が好きという若い女性、その思いを受ける側の女性や彼女の恋人、母親の物語も加わります。タイトルは、杉田久女の俳句~花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ~に着想を得ていますが、私は“まつわる紐”を女性にまつわる男性がつくった社会の数々のしがらみ、と捉えてみました。それを物語で解いていく事によって、それぞれの登場人物に風が吹くんじゃないかな、という想いを込めています」

出演は、北は北海道から南は熊本県の出身者まで、オーディションで選ばれた10名と関西からのゲストキャスト2名による計12名。福岡を拠点に活動する劇団FOURTEEN PLUS 14+の村上差斗志は「女性の生き方や生き辛さを描く作品で、その生き辛くさせている男性を演じるという事で喋る台詞が全部自分に返ってきて苦しい部分もあるんですが、観終わった後、観てくださった女性にも男性にも良い風が吹く作品になればいいなと思います」と意気込みを語った。

本作は、岩崎が書き下ろした戯曲を岩崎とは長年親交のある飛ぶ劇場の泊篤志が北九州弁に翻訳し、全編北九州弁で上演する。その土地の言葉と体温を持って、今この時代に問う“女性の生き方”とは?世代や性別を超えて、多くの観客に考えるきっかけを与えてくれる作品となりそうだ。

公演は2月27日(木)から3月1日(日)福岡・北九州芸術劇場 小劇場、3月7日(土)から8日(日)まで兵庫・アイホール(伊丹市立演劇ホール)にて。チケット発売中。