国民生活センターは、コードを巻き付けるなど、ヘアドライヤーの取り扱いによっては、発火や火花の発生によるやけど、髪の毛が吸い込まれて抜けなくなる可能性があるため、注意を呼びかけている。また、業界に対してはヘアドライヤー使用中の不具合発生を未然に防ぐため、さらなる製品改善や啓発活動を要望した。

同センターが運営する「PIO-NET」には、2011年度~2015年度、毎年100件以上、ヘアドライヤーに関する相談が寄せられ、うち50~70件程度にはけがや病気などの危害を実際に受けた、あるいは受ける可能性があるという「危害・危険情報」が含まれている。これらの相談事例を受け、消費者にヘアドライヤーの使用実態に関するアンケート調査を実施するとともに、使用中のヘアドライヤーに関する調査や再現テストを行った。

コンセントを抜いた状態でもコードの巻き付けはNG

コードをヘアドライヤー本体に巻き付けるとコードが損傷する場合があり、取扱説明書や本体には、コードを本体に巻き付けないこと、異常があれば使用を中止すること、吸込み口に髪を近づけすぎないことが表示されている。

しかし、ヘアドライヤーに関するアンケート調査では、回答者2000人のうち、保管の有無に関わらず、約6割が取扱説明書を読んでおらず、同じく約6割は、「コードをヘアドライヤー本体に巻き付けてはいけない」と知らなかった。

約8割はヘアドライヤー未使用時にプラグをコンセントから抜いているものの、そのうち約3割はコードを本体に巻き付けていた。コードや本体の動作に異常があっても使用を続けている人もおり、ヘアドライヤーに髪の毛を吸い込まれた経験のある人のうち、約5割が髪の毛に何らかの被害を受けたことが明らかになった。

使用中のヘアドライヤーによる髪の毛の吸い込みについて再現テストでは、多くのドライヤーにコードのねじれが生じ、導線に損傷のある箇所を中心に、コードに局所的な発熱を確認した。さらに、コードが損傷しているヘアドライヤーでは、動作の異常、発煙、発火、火花の発生が見られたほか、ヘアドライヤーの吸込み口近くに髪の毛の先端があると、ヘアドライヤー内部に髪の毛が吸い込まれる場合があることも確認された。今回の調査結果・再現テストの結果を受け、本体にコードを巻き付けないこと、取扱説明書をよく読むことなど、注意を喚起した。