ミュージカル「陰陽師」~大江山編~

中国14都市で上演された「ミュージカル「陰陽師」~大江山編~」の東京凱旋公演が2月26日(水)から東京・日本青年館ホールにて上演中。その開幕に先駆け公開ゲネプロが行われた。

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本作は、全世界で4億ダウンロードを突破した中国発の大人気ゲーム「陰陽師本格幻想RPG」を日本でミュージカル化したもの。妖が蠢く美しき平安時代を舞台に、プレイヤーがさまざまな式神とともに魑魅魍魎と戦い謎を解き明かしていくゲームを原作に、演出・脚本・作詞を「少年車中」の毛利亘宏、音楽を「スーパー戦隊シリーズ」や「ガンダムシリーズ」で知られる佐橋俊彦、振付をミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで知られる本山新之助が手掛け、一作目「ミュージカル「陰陽師」~平安絵巻~」は2018年に日本と中国3都市で上演。二作目となる今作は、2019年から中国14都市で公演を行い、今回の東京凱旋公演はその集大成となる。

物語の舞台となるのは、人と妖(あやかし)が共存していた時代。ただし、人間と妖の間には千年もの永きに渡る怨念が存在していた。その世界で、天文を読み解き、陰陽ふたつの世界を自在に行き来する異能者「陰陽師」。源家の「陰陽師」でもある源頼光(武藤賢人)は、兄・頼康(山川ありそ)の命を奪った妖を根絶やしにすることを悲願に生きており、源家の宝刀・鬼切(森田桐矢)と妖刀姫(長谷川唯)を伴い、鬼である酒呑童子(宇野結也)と茨木童子(土井一海)がいる大江山に乗り込む。一方、妖との共存を望む稀代の「陰陽師」である晴明(北村健人)は、妖である玉藻前(蘭舞ゆう)に依頼され、源氏一族の真相を調べ始める。すると、思いもよらない事実が発覚する――。

舞台ならではの、芝居、音楽、ダンス、映像技術の融合によって、人と妖が共存する“幻想世界”が鮮やかに表現されている本作。劇中の殺陣なども華やかで、エンターテインメント性の高い舞台となっている。しかしなにより、脚本・演出を手掛ける毛利ならではの、“人間(本作においては妖も含む)”の描写は舞台版ならでは。劇中でキャラクターひとりひとりが色濃く存在することで、RPGとしてはベーシックな展開であるバトルについても“なぜ戦うのか”、そして“妖と人間、何が違うのか”、“それは本当に敵なのか”と立ち止まらずにはいられない。妖を根絶やしにしたい頼光と、妖と共存を望む晴明、ふたりの想いの結末はぜひ舞台で確認してほしい。

「ミュージカル「陰陽師」~大江山編~」は、3月1日(日)まで東京・日本青年館ホールにて上演。

取材・文:中川實穂