小学校の授業以来という書道に挑戦した内村航平

 リオ五輪体操男子団体総合と個人総合の2冠に輝いた内村航平選手が21日、都内で行われた「ASICS アドバイザリースタッフ契約 記者発表会」に出席した。

 11月30日付で所属していたコナミスポーツを退社。プロに転向して以降、これが初の公の場となった内村選手は、今回アドバイザリースタッフ契約を結んだ同社の青いウエアを身にまとい、「体操の試合だと赤を着ることが多かったので新鮮です」と笑顔。会場では、「小学校の授業以来でドキドキ」という書道で、現在の心境を「挑戦」としたためると、「これからいろんなことに挑戦していくのでこの文字がぴったりかなと思いました」と紹介。出来栄えを問われると「あ、普通です…」とはにかんだ。

 アシックスと内村選手の契約期間は今年12月1日から。内容は、同社製品に関する広告やカタログ、ポスター、インターネットなどの電子媒体による宣伝、イベント活動への協力などだといい、同社を選んだ理由について内村選手は「(同社が)東京五輪のゴールドパートナーだというのが大きい。僕と目指すところが同じなので、手を取り合っていければと思った」と説明。今後、日本初の体操プロ選手として2020年の東京五輪を目指す自身の立場については「今まで誰もやったことがない領域に踏み込む」と表現した。

 一方、内村選手はこのタイミングでプロ転向を決めたのも、体操のさらなる普及が目的だったとし、「僕のことは(リオ五輪で)大分知れ渡ったけど、体操自体としてはまだまだ伝えていくことがある」と使命感を吐露。「リオで金メダルを2つ取って帰ってきたけど、すごく“体操が広まったな”という感じがあまりなかった。4年前のロンドン五輪後にもプロには興味はあったけど、なかなか踏み込めず…。リオが終わった後に、これだけ結果を残してきたし“今しかない”ということで決心しました」と経緯を語った。

 また、体操界におけるプロ選手とアマチュア選手の違いについては「誰もやったことがないので一概には言えない」としつつも、「これまでは大学を卒業したら企業から給料をもらって、仕事として体操を行うというものだったけど、(プロだと)いろんな企業と契約を結ぶことができる」と回答。「体操の練習も、企業の中で決められた時間にするのでなく、自分の好きな時間に好きなだけできるというのが魅力だと思う」と声を弾ませた。

 最後に、あらためて「一番の目標は2020年東京五輪に出場してしっかり結果を残すこと。これは最低限の条件だと思っている。そこを目指す中で体操の素晴らしさ、面白さを子どもたちに広げ、体操の人口を増やしていけたら」と語った内村選手。直近の目標としては「来年4月の全日本選手権」を挙げ「公式戦に出るのは9カ月ぶりぐらい。試合勘を取り戻すのを課題に、今トレーニングをしているところ」と近況を明かした。