食事は1日3回、それが毎日続きます。食が子どもの体を育むことは周知の事実ですが、手を抜きやすいことでもありますよね。

便利な世の中では、コンビニに行けばお弁当からパン、レトルト食品、お菓子まで何でも手に入ります。

スーパーに行けばお惣菜があるし、ファストフードでは早く安く食事ができるし、お湯を入れるだけのカップラーメンの種類も無数にあります。自分で料理をしなくとも、食事を済ませることができます。

このような環境の中で、朝は忙しいから子どもに菓子パンを食べさせている、夕食の前に好きなお菓子を食べさせている、なんてご家庭もあるもの。

しかしそれは本当に子どものことを考えての行動なのでしょうか。

「毎日の食事で子どもは親の感情を感じ取ります」。

そう語るのは、『地頭のいい子を育てる食卓の力 6歳までに身につけたい30の習慣』の著者で農学博士の佐藤剛史先生。

7歳の女の子と、5歳の男の子のパパでもある佐藤先生に、日々の食生活で親が意識したいポイントを伺いました。

親が選んで責任を持つことが大切!

みなさんは、スナック菓子の栄養成分表示を見ることがありますか?

『地頭のいい子を育てる食卓の力 6歳までに身につけたい30の習慣』によると、あるスナック菓子は、1袋58gあたり、20.0gが脂質で、脂質含量は約34%。

これに対し、輸入牛サーロインは23.7%です。つまりスナック菓子の脂質含量は、サーロインよりも高いことになるのです。

また炭酸飲料水には多くの糖分が含まれています。ある甘い炭酸飲料水500mlに含まれている糖分は、3gのスティックシュガーで20本分ほど。これを意識せずに飲んでいたら、大量の糖分を摂取することになりますよね。

――スナック菓子やチョコレート菓子は、どのくらいの量なら子どもに与えても大丈夫でしょうか?

佐藤剛史さん(以下、佐藤)「マニュアル的にどれだけならいいですよ、何歳になったらOKですよというのではなく、親が子どもの体や食生活や習慣をしっかり考えて、親自身が選択して、それに責任を持つことが大事だと思います。

我が家の場合、スナック菓子、清涼飲料水は、一切購入しません。うちの中に、そうしたものがないので、子どもは小さい頃から、それらを食べる習慣がありません。

子どもなりに、『これは食べたらダメなんだ、飲んじゃダメなんだ』というのがわかっていると思います。

砂糖や油がたっぷり使われているチョコレート菓子やスナック菓子をごはんの前に食べて、一番大切なごはんを食べられなくなるのであれば、それは問題ですよね。

サーロインステーキよりも脂質含量が多い、油たっぷりのスナック菓子をおやつとして食べた後に白ごはんを『美味しい』と思えるわけがないですから。

しかしそれは我が家のルールであり、他の家庭に強要したり、勧めたりするつもりはありません。親が選択して、その子がどういう人生を歩むかに対して責任を負うということなのです。」

夫婦で食に関する共通の認識を持つ

――親がまず子どもに見本を示すことが大切なのでしょうか。

佐藤「そうですね。簡単に言ったら、夫婦間、親の間で食に関する共通認識ができていますか?ということです。

そして、スナック菓子にどれだけの油が含まれているか、清涼飲料水にどれだけの砂糖が含まれているかなど、最低限の知識を持っているかということなのです。

『子どもに食べさせるものはこうでありたいよね』と、価値観や感覚を夫婦の間で共有していくことが大切だと思います。

そういう認識や知識がないまま、便利や楽だからといった生活に流されていけば、子どもの食生活が乱れていき、その食生活が毎日積み重なれば人生となっていくのです。」

親の無知が虐待につながる可能性も

佐藤「ボトルカリエス(哺乳瓶虫歯)を知っていますか?

子どもが風邪をひいて病院に行ったら医師から『水よりも経口補水液を飲ませた方がいい』と言われ、風邪が治った後も「栄養がありそうだから」と、スポ-ツドリンクなどを哺乳瓶に入れて、それを飲ませる親がいます。

そしてせっかく生えてきた子どもの歯が虫歯になってしまうことを、ボトルカリエスといいます。

その飲み物にどれだけ砂糖が入っているかを知らず、また寝る前に哺乳瓶で飲ませれば唾液が出なくなっていくので、虫歯になりやすくなります。

これはちゃんと知っている親ならそんなことは絶対にしませんし、知らない親はしてしまうのです。

それが結果として、子どもが虫歯だらけになり、ものを食べられなくなります。これは無知が生み出した虐待なのです。

親として子どもの人生、命を預かる以上、きちんと意識を持って学んでいくことはとても大切だと思います。」