1年生になってもおむつが取れない、社会人になってもちゃんと働けない、など自立できない子供が増加していると言われていますが、その原因の1つに「母親の無意識な行動」が関連していることをご存じでしょうか。

無意識ということですから、母親が意識的にそのような環境を作り上げているのではなく、生まれ育った環境や社会がそのような状態を作り出しています。

子育て真っ最中のお母さんと言えば、昭和40年代~平成10年代生まれの方がほとんどだと思いますが、昭和40年代でも既に衣食住については何不自由なく揃えられており、子育て環境は、ひと言で言えば「豊か」でした。

そんな時代に育ったお母さん世代の子育てに対する考え方と、家電などの普及により家事に時間がかからなくなった環境、そして情報過多となっている子育て情報など、さまざまな要因が重なり、無意識のうちに自立できない子どもを育てあげていると言われています。

このまま行けば、無意識のうちに自立できない人間が大量に育つことになり、国の行く末にも影響が出てくるのではないかとも不安視されています。

このような悪い連鎖は、いつか断ち切らなければ大変なことに。

今回は、田中喜美子著『母子密着と育児障害』を参考に、母親の無意識が子供の自立を阻害していると言われる、その無意識な行動についてお伝えしたいと思います。

母が育ってきた環境が、自立できない子どもを育てる

子育て真っ最中のお母さんが育った環境と言っても、全ての家庭に当てはまるとは限りませんが、豊かさゆえに「我慢を教えられず育った環境」「自立を促されずに育った環境」と言えると思います。

そのような環境の中で育ってきたことが、今の子育てに大きな影響を与えています。

子育てをしているお母さんが我慢を知らず、自立を促されずに大切に育てられれば、そのお母さんもまた同じような子育てをしてしまうのは自然の流れであり、当たり前のことなので、そこを否定するつもりはありません。

しかし、我慢知らずで自立の仕方を知らない、いわば自立していないお母さんが無意識に自立できない子どもを育ててしまうことは、社会にとって悪い連鎖となっています。

心では「自立できる子に育てなければ」と思いつつも、自分の育ってきた環境が当たり前という考えの中で育児をすることが、無意識のうちに子どもの自立を阻害している可能性があることを再認識して頂きたいと、田中喜美子さんは言います。