坂本真綾 坂本真綾 (撮影:源賀津己)

『足ながおじさん』を原作にしたアメリカ発のミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』が、この秋、日本初演を果たす。ヒロインのジルーシャ役を演じる坂本真綾に抱負を訊いた。

『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』公演情報

声優、歌手、エッセイスト、作詞家、ラジオパーソナリティ、ナレーターなど幅広く活躍する坂本にとって、舞台という表現ジャンルは「自分の原点であると同時に、憧れの強い場所」だという。「父が舞台照明家なので、幼い頃からよく観劇していました。子役からこの世界に入ったのも、その影響です」。『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役を2003年から6年間にわたって演じた。その際に薫陶を受けた演出家ジョン・ケアードが脚本も手がけ、2009年にアメリカで発表したのが、『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』だ。「大きな挑戦になりそうだという緊張もありますけど、ジョンがいてくれるなら大丈夫だろうと。新しい一面を引き出してもらえるようないい経験になると思います」。

物語の時代背景は、20世紀初頭。孤児院で暮らす18歳のジルーシャには、陰ながら自分を支援してくれる存在がいた。だが、「きっと年寄りのはず」と勝手にイメージしているせいで、彼女は目の前に現れた若き青年ジャーヴィスが当の支援者だと気づかない。一方、ジルーシャへの気持ちが慈しみから愛情へと変化していながら、ジャーヴィスは自らの正体を明かせずにいる。

純粋であるがゆえに、遠回りしてしまう。そんな男女の心の機微を、“ふたり芝居のミュージカル”として描く趣向が新しい。ジャーヴィス役には、坂本とは初共演の井上芳雄が扮する。「ポスター撮影で初めてお会いしたんですけど、足が長いし、背が高くて、すごくかっこよかった。同い年で、“おじさん”呼ばわりするのが申し訳ないような。とても魅力的なジャーヴィスになると思います」と坂本。楽曲については、「歌うのが楽しいナンバーばかり。ポップスやカントリーのテイストが入っていて、作品の世界観にぴったりです」と印象を語った。

「あらためて読み返してみると、こんなにもキュンとするラブストーリーだったのか、と気づかされました」との言葉に実感がこもる。原作小説は年代を問わずに親しまれているが、生身の男女が目の前で演じる舞台では、大人のためのラブ・ロマンスという側面がより際立つに違いない。

ミュージカル・ロマンス『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』は、東京・シアタークリエにて9月2日(日)から19日(水)まで上演。チケットぴあでは、6月30日(土)の一般発売に先がけ、6月29日(金)18:00までインターネット先着先行プリセールを受付中。東京公演の後、新潟、大分、大阪、福岡の各地を巡演する。なお、東宝の公式サイトでは、坂本が歌うミュージカル・ナンバーを公開中。