学習障害児への支援を諦めた教師

こんなことがありました。

LD児に対してしっかりと勉強していた担任教師がいました。

プリントを与えて自分で読んで回答させることが難しいとわかっていたので「あなたはちゃんと理解できる頭を持っている。でも、目でとらえて読めない、書けないだけ。だから耳で聞くことが出来るように先生が問題を読んであげる」と個別指導をしていました。

ところが他の生徒達が「あの子だけ特別扱いされている。えこひいきされている、ずるい」と言い出し、いじめが始まりました。

これを見た教師は、「いじめられたら可哀想だから、特別扱いは止めよう」と支援を断念してしまいました。

でも、一歩進んで「人にはいろんな見え方がある。だから特別な教え方をしている」と、他の生徒たちにこれを機会に教育すれば、クラスメートのディスレクシアへの理解が深まるチャンスだったのに残念なことです。

将来の分かれ目

さて、誰にも理解されないまま大きくなっていったらどうなるでしょう。

「お前の努力不足だ」「怠けている」と学校で叱られ続け、お友達からも「あいつはできない子だ」という目で見られ、いじめられ続けたら、きっと学校に行くのが苦痛になるでしょう。不登校になることもあります。

そして「自分はダメな人間。努力不足の怠け者、だからできないんだ」と自分を責め続け、自己否定するようになってしまいます。

生まれつきの一次的な障害に対して適切な対処をされなかったために、不登校、鬱、自傷、他害(反社会的行動)などの二次障害が表れ、苦しんでいる人も多くいます。

まとめ

“学習障害児、LD、ディスレクシア”という言葉を、何パーセントの日本人が知っているでしょうか?

出来ない本人を責めるより、勉強不足の私たちが学ばなければいけないのかもしれません。

映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏など、学習障害を持ちながら活躍している人はたくさんいます。

もし、あなたの子どもが極端にできない部分があるとしたら…?

「なんだかおかしいわ」と感じたら、学習障害児を専門としている医師を訪ねてみましょう。また、病院は専門医師不足のためどこも混んでいます。

EDGE(エッジ)というディスレクシアの人たちのためのNPOもありますので、親の会などに参加して情報を得ていきましょう。

周りの支援不足で、人生の最初から自信を失うことのないように助けてあげてくださいね。

<参考>
・日本LD学会
・国立特別支援教育総合研究所 「平成25年度インクルーシブ教育システム構築モデル事業 報告書 成果報告書(II)」2015年