最近ではレシートを撮影するだけで家計簿をつけることができるアプリや、パソコンのソフトで簡単に家計簿をつけるというツールがどんどん登場しています。

家計管理がラクになった!と喜んでいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、一旦立ち止まってよくよく考えてみましょう。

実は毎月使うお金に変化なし、実は何も節約できていなかった!なんてこと、ありませんか?

今回は、『細野真宏のつけるだけで「節約力」がアップする 家計ノート 2017』(小学館)の著者である細野真宏さんにインタビュー。

一日たった3分で、年間平均14万7456円が節約できる!と話題の『家計ノート』に隠された秘密とは?

便利な時代に、あえて家計簿を手で書く驚きの理由は?

――便利な家計簿アプリなどがどんどん登場している中、細野さんはこの『家計ノート』において自分の手で家計簿を書いていくことを推奨していますよね。今の時代に、あえて手で家計簿をつけることのメリットは何なのでしょうか?

細野真宏さん(以下、細野)「まず『なぜ自分の手で書くのか?』を説明するには、スマホアプリやパソコンで家計簿をつけることの『ひっかけ問題』についてお話すべきですね。

家計管理の重要性は誰もがわかっています。ただ、多くの人にとって手書きの家計簿は、なんとなく面倒で、つけることにハードルが高いと感じますよね?

そこで、レシートを撮影するだけで終わりというような、ラクに家計管理ができるアプリやソフトの登場によって、家計管理をすることのハードルは一見、下がってくるわけですね。

しかし、便利な社会というのはすべてがプラスなことばかりではないんですよ。実はそういった技術の進歩によって、人間の退化が起こっているんです」

――人間の退化、と言いますと?

細野「まず、多くの人が経験のあることだと思うのですが、漢字が書けなくなっていませんか?今はパソコンやスマホで簡単に文字を打てるため、文字を書くという習慣が大幅に減って、入力作業になってしまっているためです。

せっかく子どもの時に行なった教育の効果が剥がれてしまっているんですよ。

また、手軽に多くの情報が入ってくるので、その情報の量に満足してしまい、一つ一つの物事について深く考えるという習慣が自然と失われてしまっている弊害も出てきています。

このように便利な環境には負の面もあって、知らず知らずに、基本的な人間の能力の退化も同時に進んでしまっているんですね。」

――そういった傾向が、家計管理にも影響してくるのでしょうか?

細野「そうなんですよ。スマホやパソコンの家計簿ってすごくラクなんです。

ただ、実はその手軽さに『ひっかけ問題』があって、簡単に作業が完了するので、その作業だけで管理ができていると錯覚し満足してしまい、結果的に自分のお金の使い方に対して振り返りをしなくなってしまうことが多いんですね。

あくまで記録に残すという機械的な作業をしているだけで、行動を見直そうという本来のきっかけを得ることなく終わってしまう場合が増えるわけです」