サッカー経験者だったお父さんも、ポジティブなイメージは良いとして、そのようなアドバイスを繰り返していました。

イメージトレーニングがそもそも悪いわけではありません。実際にイメージ通りにプレイができて、これまで成功体験をたくさん積むことができました。ただ、今回のポイントは、“劣勢になった時のイメージトレーニング”ができていなかった部分です。

「イメージとしていた自分と現実の自分との大きなギャップを感じながら、試合を続けることはとてもつらいこと」と森川さんは、彼の気持ちを代弁。戦意喪失して、やる気を失ってしまうのも、仕方がないですよね。大人でもこの状況は辛いです。

そこで森川さんは、イメージトレーニングの方法についてアドバイス。「ポジティブな試合展開だけをイメージするのではなく、こうなったら嫌だなあと思うシチュエーションも思い浮かべてもらった」のです。

これがターニングポイントになりました。

「あきらめそうになったり、イライラしなりしたとしても、これだったら確実にできることって何だろう?」の問いかけに、「とりあえず、ディフェンスならできる。点をとるのは難しいかもしれないけど、点をとられないことに集中することならできると思う」と答えました。

そして、対の試合。前回、0-5と大崩れした対戦相手との再試合では、結果は変わらず敗戦でしたが、adsewイメージトレーニングがうまくいったそう。

劣勢の中、「前の日に予習していた気持ちだったから、ああ、やっぱりこの気持ちきたー!って思った(笑)。だから、作戦どおり、とにかくディフェンスをがんばろうって思いました」と前向きな姿勢で試合を終えることができたのです。

結果は敗戦ですが、1-2。これは次に繫がる試合だったと言えます。また、彼自身もマイナスな感情を抱きながらも、最後までやれたという自信を得ることに。

子どもたちの数ある「本番」のなかで、全てが思い通りの結果となるわけがありません。

そんな想定外の状況をしっかりと受け入れ、その中で、どれだけのパフォーマンスができたかが、子どもの成長に繫がりますし、それこそ逞しい大人になるための一歩となるでしょう。

お子さんの本番を前に、つい、ポジティブなアドバイスをしてしまうお母さん、実はそれだけではダメなのです。

ネガティブが実はポイントとなる。これ、覚えておいた方が良さそうですね。

前述の「ああ、やっぱりこの気持ちきたー!って思った(笑)」といったポジティブなコメント、こんな逞しいお子さんの姿を見てみたいですよね。