今も昔も変わらないママたちの悩みとは?

竹中:例えば「授乳中は、お酒を飲んじゃいけないんですか?どれくらいなら飲んでいいんですか」というお問い合わせとか。あと「タバコは、やめなくちゃダメですか」というご質問をいただくこともありますね。

まず最初にお断りしておかなければいけないのは、【母乳110番】は医療相談ではないので、医学的な回答やアプローチが必要なご相談については、専門家の方につないでいます。

でも、寄せられるご相談のほとんどは医療よりもっと手前の、ただひたすらに「話を聞いてほしい!」というものが多いのです。

先ほど例にあげた授乳中のお酒やタバコに話を戻すと、お電話をかけてきたご本人は、もう、ご自分で分かっていらっしゃるんです。でも誰かに「本当は飲んじゃダメだけど、そのくらいならいいんじゃない?」「タバコはやめたほうがいいのよ」と、ズバッと言ってもらいたい。

自分が決めたことについて、ポンッと背中を押してもらいたいんですね。

今も昔も、ママたちが心の底から欲しているのは“共感”だなぁと、25年やってきてつくづく思います。

――共感、ですか。

竹中:【母乳110番】では「ピアカウンセリング」という考え方でご相談に応じているのですが、その基本になるのが“ママ同士の共感”です。お互いに共感できて、信頼関係ができてからでなければ、提案は出来るだけしないようにしています。

よくある「卒乳の時期についてお聞きしたいんですけど」というご相談ひとつとっても、「夜間授乳がキツくて、もう辞めたい!」という気持ちから断乳の決断を促してほしい人もいれば、「お姑さんに『離乳食が進まないのはいつまでもおっぱいをあげているせいだ』と言われて悩んでいる」ので「理論武装の仕方」や「口撃のかわし方」が聞きたい、という人もいます。

「こっちは授乳で動けないっていうのに、そばにいるダンナが何もやらなくって腹立つ!」という愚痴を実は聞いてほしかった、という人もいるんですね。

断乳や卒乳についても、詳しくは別の回でお話しますけれども、そのお悩みに至るまでの背景はさまざまで、実は問題の根っこが人間関係にあったりしても、それに気付けないほどママが疲れきっていることもあるわけです。

こんがらがった糸をほぐして、自分の気持ちをはっきりさせて、自身の力で解決できるように、じっと耳を傾ける。割合でいったら、99%は話を聞いて、アドバイスは1%くらいでしょうか。

じっくり話を聞いたうえで、「ほかのママはどうしてる?」という経験に基づいた情報を提供してゆきます。それも必ず、2つ以上の情報を。

情報がひとつだけだと「押しつけ」になってしまう危険がありますし、自分自身で「選ぶ」ことで、その後の後悔を少なくできると思うからです。

――後悔を少なくする、ですか?