高雄「水源羊肉爐」の骨付きラム肉の当帰風味鍋。クコの実やショウガもたっぷり入る薬膳鍋だが臭みは少ない。豆腐やキャベツなどの具も入る

前回は台湾で食べられる特徴的な火鍋をご紹介したが、今回は台湾人に愛されている漢方系の薬膳火鍋をご紹介しよう。台湾人は漢方が好きだ。

病院も西洋医と同じくらい漢方医のクリニックがあり、医食同源が根付いているので食べ物にあれこれと漢方薬を混ぜて摂取しようとする。

なかでも漢方が摂りやすいのが煮込むことを前提とした火鍋というわけだ。とりわけ体調管理に気をつかう冬は漢方火鍋の人気が高い。正しく食べれば元気になれるのはもちろん、美容効果も期待できる。

羊肉爐(ヤンロウルー) 台北/高雄

「水源羊肉爐」の当帰風味鍋を小皿に取り分けたもの。ラム肉は骨の周りが一番美味しい。じっくり煮込めば骨からするりと肉が取れるほど柔らかくなる

通常の火鍋はさまざまな具材を鍋に入れ、薄切り肉をさっと湯がいてしゃぶしゃぶのように食べることが多い。

だが、漢方系は煮込むことが大事なので、煮込みに適した肉を使う。その代表がラム肉だ。薄切りではなく骨付きのバラ肉や塊肉など、鍋で長時間煮込むことで柔らかくなり、味が染み込むものがいい。

ラム肉鍋には当帰という漢方を使うのが一般的。体を温める効果があるので冬の火鍋に適しているのはもちろん、女性の身体にとてもやさしい。妊娠、出産などのタイミングで摂取すれば補血作用もあるといわれる。このためラム肉鍋は女性ファンも多い。

ラム肉鍋は煮込み始めは味がなじまないので、20分~30分ほどじっくりと煮込むといい。ラム肉がホロリと骨から外れるほどクタクタになれば食べごろだ。

 

水源羊肉爐(スエユェンヤンロウルー)
高雄市七賢三路255號 TEL:07-5212590
17:00~03:00 不定休(月末)

長疆炭燒羊肉爐(チャンジャンタンサオヤンロウルー)新荘店
新北市新荘区思源路111號 TEL:02-29925762
16:00~2:00 無休

香菇雞湯(シャングージータン) 台北

鶏肉とシイタケにクコの実、ナツメ、高麗人参などをプラスした小鍋。もっとも手軽な漢方スープだ

薬膳鍋というと、いろいろな漢方素材を時間をかけて煮込むというイメージだが、台湾人は乾燥シイタケ、ショウガ、鶏肉だけでも立派な「薬膳」として認識している。

毎年立冬を迎える11月頃になると、台北では朝晩少し冷える日が増え、温かいスープが恋しくなる。そんなとき、手軽に楽しめるのがシイタケと鶏肉のシンプルなスープだ。

ここにクリとショウガを加えるとさらに滋養効果がアップする。

シイタケは生よりも乾燥させたもののほうが断然栄養価が高い。乾燥させることで栄養素が凝縮され、免疫力や美容効果が生シイタケの10倍にもなるのだとか。

甘みも香りも増す乾燥シイタケはギュッと身が締まった鶏肉ととても愛称がよい。カロリーが控えめなのもうれしい。

 

好年年養生豬腳
台北市西園路一段314-1號 TEL:02-23027188
11:00~20:30 無休

薑母鴨(ジャンムーヤー) 新北市板橋

冬場の鴨料理といえばショウガと米酒をたっぷり使った薑母鴨。写真は板橋の「林家帝王薑母鴨」。キャベツも入る

鍋と愛称がよい骨付き肉はラム肉だけではない。台湾では庶民の食材である鴨も人気がある。骨ごと煮込むことで、肉がほどよく引き締まり、鴨の脂がスープに溶け出してコクが増す。

なかでも台湾の飲ん兵衛に愛されているのが、鴨鍋の代表格とも言うべき薑母鴨。ショウガを意味する「薑」の字が示すとおり、ショウガがふんだんに使われる。

そして、特徴的なのが焼酎を加える点だ。驚くことに、薑母鴨には台湾の米酒と呼ばれる米焼酎がまるごと1本(600ml)注がれる。最初は酒臭くてとがった香りがするのだが、ラム肉鍋と同様、コトコト20~30分煮込むとアルコールが飛んで旨味だけがスープに残る。

ショウガも大量に入っているので身体が芯から温まる。冬の夜は、仲間とビール片手に薑母鴨を囲む男たちの姿を至るところで見ることができる。

 

林家帝王薑母鴨(リンジャーディーワンジャンムーヤー)
新北市板橋区西門街55巷1號 TEL:02−29600096
16:00~26:00 無休

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