とばせないOP「もってけ!セーラーふく」の中毒性

テレビアニメに欠かせないオープニングアニメーション。このOPを演出したのは1話から4話まで監督だった山本寛さん。作詞は数多くのアニソンを手がけている畑亜貴さん、京アニ作品だけでなく「化物語」OPシリーズも手掛けた神前暁さんが作曲を担当しています。

10周年という節目、この機会に『らき☆すた』を改めて視聴していたのですが、このオープニング、本当に一度たりとも飛ばせなかったんですよね。

OPは作品全体の印象を決定づける重要なパート。あの独特のテンポと可愛らしさとサイケデリックさが同居したようなセンスは、当時も多くのファンを魅了していましたね。改めて聴くと10年という月日が積み重ねた「懐かしさ」が感じられますが、当時と変わらない「新鮮さ」もそのままです。

左利きに憧れてくれてありがとう

『らき☆すた』の登場人物は、ほとんどが左利きです。こんなにたくさん左利きのキャラクターが登場する作品は、アニメでも映画でも見たことがありません。

俳優さん自身は左利きでも役を演じる時は右手で持って演じることも多いですし、映画『怒り』みたいに犯人が左利きという設定がないと、わざわざ左利きのキャラを作ったりしませんね。

でも『らき☆すた』では、特のなんの理由付けもなくみんな左利きなんです。当たり前のようにみんな左利きで、それがキャラの特徴づけにもなっていない。これはとてもユニークなことだと思います。

その理由は原作者の美水かがみさんが小さいころに左利きだったのを矯正されて、左利きに憧れを持つようになったからというのを聞いたことがありますが、そんな風に左利きに憧れてくれて、左利きの筆者は「ありがとうございます」と言いたいです。

あんな左利きだらけの世界に住めたら、色々苦労が減るよなあと思うんですよね。左利きってボールペンのインクが出にくかったりするんですよ、本当に。カウンター席に座って隣の人に肘がぶつからないように注意しないといけないし、実生活では左利きはいろいろ苦労するんですけど、あれだけたくさん左利きがいる『らき☆すた』の世界ならボールペンもハサミをきっと左利き用になってるんだろうなあ。

そんな風にうらやましく思ったり。

「聖地巡礼」10年後の今も生き続けるコンテンツに

『らき☆すた』といえば鷺宮神社。毎年元旦の初詣がファンにとっての恒例行事になるなど、2000年代の作品における「聖地巡礼」というカルチャーの先駆けとなったアニメとも言われています。

作品の舞台のモデルとなった街で今もなお親しまれ、アニメによる町おこしの代表例として、各地から視察が入るほど。放送から10年を経た今でも、地元にも、ファンにも愛され続けるというのは、移り変わりの激しいコンテンツの世界においては驚異的なことではないでしょうか。それだけ多くの人の中にこの作品が生き続けているんですね。

10年経ってもファンが行動で作品愛を示す作品はそうそうありません。放送からこれだけの月日が経っても現在進行系で愛されている、幸せな作品であるといえますし。筆者も出会えて良かったと心から思える作品の1つです。