2007年4月から9月まで放送されてテレビアニメ『らき☆すた』。早いもので今年、放送開始から10周年を迎えます。原作漫画は2014年に10周年を迎えており、記念のムック本なども発売されていますが、アニメで『らき☆すた』を知ったという人も多いのではないでしょうか。

もはやアニメファンの間ではブランドと言っていい地位を築いた京都アニメーションの代表作であり、日常アニメの金字塔といっていい作品ですが、その魅力は10年経った今でも色褪せていません。

テンポよい会話の応酬から、ふいに話題が切り替わる独特の構成、オープンなオタクキャラを確立した「泉こなた」を始めとする魅力溢れるキャラクターたち。日常あるあるを詰め込み、思わず「それってあるよね」と頷いてしまうエピソードの数々。

そして聖地巡礼ブームを作った作品の1つでもあり、放送から10年経ってもなお、舞台のモデルとなった地元では名物の1つとして定着しています。

移り変わりの激しいコンテンツの世界で10年経ても、多くのファンに支持されている『らき☆すた』。筆者もとても思い入れのある作品です。あの作品には多くのことを教えられた気がします。

オタク趣味を隠さない、こなたの生き方に共感

筆者と『らき☆すた』との出会い。それは放送当時ではありませんでした。

高校時代にはたくさんのアニメを見ていたのですが、当時の筆者は映画の勉強のためにアメリカ・ロサンゼルスへ留学中。今ほど「クランチロール」(海外のアニメ配信サイト)のラインナップが豊富ではなかったことや、環境の変化、アニメよりも実写作品を見る機会が圧倒的に多くなったことで、アニメというカルチャーから遠ざかっていました。

そんな時に、ふと出会ったのが『らき☆すた』でした。本作の主要キャラクターの一人、泉こなたはオタク趣味であることを隠さず、部活動に所属していない理由が「アニメが見られなくなるから」と明快。その堂々とした姿に筆者の中に隠れていたオタクスピリッツが刺激されました。

高校時代、映画やアニメのために帰宅部を選んだ筆者。高校生活をきちんと過ごしていない気がして、 少し後ろめたく思っていましたが、アニメが見られなくなることを理由に部活をやってないと答えた姿は自分を肯定してくれたような気がしましたね。

こなたのように「自分の好きなものを好きと自然に言える」ことって素敵だなと改めて感じさせてくれたのです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、『らき☆すた』は筆者の生き方を少しだけ変えてくれた、心を軽くしてくれた作品なのです。

最近のアニメ作品では、こなたのようなオタクであることを特徴にしたキャラは珍しくなくなりましたし、現実にもオタクであることを隠さない人が増えていますよね。

こうして振り返ると、この10年でアニメやオタクを巡る認識は大きく変わったんだなと感じます。