大竹しのぶ  撮影:石阪大輔 大竹しのぶ  撮影:石阪大輔

サラ・ベルナール、ヘレン・ミレンといった世界の名女優が演じてきた古典劇『フェードル』に、大竹しのぶが挑む。演じるのは、義理の息子への破滅的な想いに身を焦がす女性だ。その激情をいかに表現し、今に何を伝えるのか。大竹の言葉に、古典だから味わえる面白さがあることが、早くも見えてきた。

舞台『フェードル』チケット情報

これまでにギリシャ悲劇やシェイクスピア劇を経験してきた大竹にとっても、古典は久しぶりとなる。持ちかけたのは、数々の賞を獲得した『ピアフ』などでタッグを組んでいる演出の栗山民也。「普通に劇場で準備してるときに、いきなり、『古典やろうよ』と言われて(笑)。私もずっとまたやりたいなと思っていたので、ぜひという感じでした」。古典劇に惹かれるのは、そこに「演劇の原点がある」と感じるからだ。今回の『フェードル』も同様である。「書かれている台詞の言葉に力があって、愛はとことん愛、憎しみはとことん憎しみ、というふうに中途半端なことがないんです。それだけのエネルギーを持った言葉を発するにはやはりこちらも強くないと。だから演劇の原点だなと想いますし、『フェードル』はとくに、登場人物それぞれが自分の発した言葉に翻弄されていくところが、すごく面白いなと思うんです」。

『フェードル』は、17世紀のフランスの劇作家ジャン・ラシーヌが、ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から題材をとって創り上げた作品。国を出たまま行方不明となっている王(今井清隆)を夫に持ちながら、義理の息子(平岳大)への思慕に狂わんばかりのフェードル。ついにその恋心を告白するも、王が突然帰還し、さらに息子には別に思う娘(門脇麦)がいることがわかり、運命は悲劇へと向かっていく。「改めて、人間って昔も今も何ひとつ変わっていないんだなと思います。たとえば不倫の恋をしてしまうこともそう。それを、“私はもう死んだほうがいい。死ぬの、死ぬの、死ぬの!”というふうに激しく描かれているので、きっと笑えると思うんですね。古典といっても難しい話ではなく、まさに今の私たちと同じ人間の話であって。人間って本当に愚かだなって笑ってもらえればいいなと思います」。演じる側としても古典は「アドレナリンがどんどん出てきて楽しい」ときっぱり。「だから、そのエネルギーを、たとえば闘牛を観て興奮するのと同じような感覚で観てもらえればいいなと(笑)。それぐらいエネルギーが放出されている舞台にしたいと思います」。人間が本来持つ激烈を見せつけられることで、生き方をも揺さぶられるかもしれない。

公演は4月8日(土)から30日(日)まで東京・シアターコクーンにて。その後、新潟、愛知、兵庫を巡演。

取材・文:大内弓子

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