『いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命』(角川春樹、清水節著・角川春樹事務所刊)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛が求められる今、ネット配信やレンタルを利用し、自宅で映画鑑賞する人も多いだろう。見方を変えれば、気になっていた作品を一気見するまたとない機会だ。だが、画面ばかり見ているのも疲れる。そんなときは、読書で気分転換をお勧めしたい。映画やアニメなどのエンタメ関連本には、今まで見落としていた作品の魅力に気付かせてくれるものも多い。そんな中からここでは、誰にでも読みやすく、名作・話題作を深掘りできる本をいくつか紹介したい。

 まず、最近改めて注目を集めた映画といえば、今回の新型コロナウイルス騒動を数十年前に予言していたと話題になった『復活の日』(80)と、先ごろ亡くなった大林宣彦監督の代表作『時をかける少女』(83)だろう。

 この2作品を、プロデューサーとして世に送り出した人物が角川春樹。『犬神家の一族』(76)を皮切りに、1970~80年代にかけて日本映画界に旋風を巻き起こした角川映画の立役者だ。その角川本人へのインタビューを中心に、当時の報道記事などを交えて角川映画の隆盛を振り返ったのが、『いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命』(角川春樹、清水節著・角川春樹事務所刊)。

 南極ロケを敢行するなど、日本映画の枠を超えた超大作『復活の日』の舞台裏や、薬師丸ひろ子&原田知世のデビュー秘話、『時をかける少女』誕生の経緯などが次々と明かされていく。角川映画全盛期を知る世代なら当時の興奮が脳裏によみがえり、知らない世代には「日本映画にこんな時代があったのか」と新鮮な驚きを与えるはずだ。

 続いては、テレビアニメの名作「アルプスの少女ハイジ」(74)誕生の舞台裏に迫った『ハイジが生まれた日 テレビアニメの金字塔を築いた人々』(ちばかおり著・岩波書店刊)。

 名作児童文学のアニメ化に情熱を注いだプロデューサーの思い、高畑勲や宮崎駿ら才能豊かなスタッフたちが、日常描写の積み重ねとなる物語をいかにしてアニメーションとして表現し、今も語り継がれる名作に仕上げていったのか。前例のなかったアルプス現地取材の模様なども含め、その全貌が記されている。当時の世相やテレビアニメ草創期の歴史も交えて解き明かした名著だ。

 最後に紹介したいのが、『ゴジラ誕生物語』(山口理著・文研出版刊)。その名の通り、怪獣映画『ゴジラ』(54)誕生の舞台裏を解説したメーキング本の一種だが、決してマニア向けではなく、対象は「小学校高学年から」で、「全国学校図書館協議会選定図書」にも選ばれている。本多猪四郎監督や特殊技術担当の円谷英二らスタッフたちが、誰も見たことのない怪獣映画を生み出そうと奮闘した当時の出来事が、平易な文章で小学生にも読みやすく書かれている。

 難しい漢字にはルビも振られているが、だからと言って決して手を抜いた内容ではなく、写真も豊富に収録し、現場の様子を細かく描写。大人も満足できる仕上がりで、親子で特撮映画の魅力が味わえる一冊だ。

 以上、3冊を紹介してみたが、気になったものがあれば、ぜひ手に取ってみてほしい。今は書店に行くこともままならないかもしれないが、大手のネット通販のほか、書店が運営する通販サイトなどを利用すれば、出版社だけでなく、コロナ禍に苦しむ書店の支援にもつながる。それらをうまく活用して読書で気分転換し、困難続きの日常をできるだけ快適に乗り切ってみてははいかがだろうか。(井上健一)