4.話し合いの場では、人の意見を尊重する

話し合いや議論の場では、ただそれぞれが自由に自分の意見を言うだけでなく、相手の意見に耳を傾け、全員の意見を大切にするべきだとクラーク先生は話します。

たとえば、反対の意見を述べるときには、「○○の意見には賛成です。僕の考えを付け加えるなら…」「○○の意見には賛成できません。いい点をついていると思いますが…」といった言い方をするのが、礼儀正しい発表だというのです。

「人の意見を尊重する」というと当たり前のことに思えますが、実際には大人でも実践できていない人や、感情的になると忘れてしまう人が多いですよね。

グローバル化が進み、価値観が多様化する社会を生きていくいまどきの子どもたちには、特に覚えておいてほしいマナーだと感じます。

5.学校中の先生の名前を覚えてあいさつする

クラーク先生は子どもたちに、学校中の先生の名前を覚えること、そして先生を見かけたときにはあいさつすることを提案しているそう。

「そこまでする必要ある?」と思うかもしれませんが、理由を知ると納得。礼儀やマナーであることはもちろんですが、それだけではなく、子ども本人の居心地をよくするためだというのです。

学校内に知っている大人が多くなればなるだけ、何か問題が起きたり助けが必要になったりしたときに、頼れる人が多くなる。

出典(『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』ロン・クラーク)

学校は、子どもにとって、一つの大きな社会。人間関係がうまくいかないことや、ストレスがたまることもあるでしょう。そんな社会をうまく渡っていくための有益なアドバイスといえます。

人の名前を覚えること、あいさつすることは、学校だけでなく、ママの近所付き合いや職場でも重要ですよね!

以上、『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』から、世渡り術として覚えておきたい5つのルールを紹介しました。

人間社会や人の心は複雑なので、コミュニケーションの正解は決して一つではありません。でも、上記のようなポイントを意識しているのとしないのとでは、世渡りのしやすさはかなり違うはずです。

同書には、コミュニケーション術のほかに、「宿題はかならず提出しよう」「整理整頓しよう」など、ママとしては赤線を引きたくなるようなルールも。わかりやすい理由が添えてあるので、何度言っても聞かない子どもも、思わず納得するかもしれません。

また、同書とは別に、50個のルールを簡潔にまとめた子ども向けのバージョン『みんなのためのルールブック ―あたりまえだけど、とても大切なこと』も出ています。こちらには詳細なエピソードは載っていませんが、イラストが満載で、子どもといっしょに読むのにピッタリ。

「こういうときはどうする?」「なぜこうした方がいいのかな?」と親子で話し合いながら、社会のルールについて考えてみてはいかがでしょうか。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。