昨年の「オーケストラの日」演奏風景 Vn独奏レイ・チェン 昨年の「オーケストラの日」演奏風景 Vn独奏レイ・チェン

毎年3月31日は〈オーケストラの日〉。「ミミにイチバン」だからだそうで、耳に一番のご馳走をお届けしよう!と、日本全国のプロ・オーケストラがこの日を中心にコンサートやイベントを展開するのが恒例になっている。オーケストラの面白さを広く気軽に体感してもらおうと、値段もおさえめで聴ける企画がほとんどなので、2007年以来好評のうちに続いている。

オーケストラの日 チケット情報

各地であれこれ趣向をこらした演奏会がおこわれるなか、東京では今年も、首都圏に12あるオーケストラからメンバーが集まって〈オーケストラの日祝祭管弦楽団〉が特別編成され、熱きベテラン・現田茂夫の指揮でコンサートがおこなわれる(3月31日(金)15時~・文京シビックホール 大ホール)。この企画、熱心なリスナーにとっては、ふだん共演することのないメンバーが豪華に集結する年に一度の華やかな楽しみになっている。しかしなんといっても、ふだんオーケストラにおなじみ薄い方にも、聴けば「あぁ!」と惹き込まれる曲を選んでいるだけに、初めての方にこそこのスペシャルな編成で味わってほしいコンサートだ。

演目をご紹介しておくと……まず、心たかぶる迫力にオーケストラの凄味をみせつけられるシベリウスの交響詩《フィンランディア》から。続いて同じくシベリウスの〈ヴァイオリン協奏曲〉でも、ひんやりと冴えた北欧の幻想美がひろがり……その抒情豊かな歌にも、色あいが細やかで美しい。ヴァイオリン独奏とオーケストラの対話が情熱とともに昂揚してゆく、そのぞくぞくするような緊張感もまた魅力だ。独奏に迎えるのは、フランス国立放送フィルのコンサートマスターをつとめる俊英スヴェトリン・ルセフ。首都圏の凄腕たちが集う特別オーケストラとも心通じ合うに違いないゲストだ。そして最後はストラヴィンスキーのバレエ組曲《火の鳥》。ロシアの民話を題材につくられた魔法と冒険のバレエのために、カラフルな表現力を全開にする音楽だ。そこからコンサート用に美味しいところをぎゅっと編み直した組曲(1919年版)も、なにしろスケール感が凄い。震えるような繊細な弱音から魔王の凶暴なダンスに轟くインパクト、聴く者の心を解放するような壮大きわまるフィナーレまで…そのなかにも万華鏡のような色彩感を味わいつくせる、まさに傑作。

オーケストラにはそれぞれ異なる個性的な音色を持った、さまざまな種類の楽器が集まっている。80人を越えるメンバーが集まる今回も「これぞオーケストラ」という魅力と迫力──呼吸を合わせて美しく歌を重ね、絶妙なブレンドで豊かなハーモニーを響かせる素晴らしい時間を、たっぷりと体験していただけるだろう。

また、この日は同じ会場のあちこちで、朝の11時から15時のコンサート開演前まで、イベントも盛りだくさん。楽器体験やアンサンブルのミニコンサート、コンサート本番前の総練習(ゲネプロ)公開、《火の鳥》の秘密を探るスペシャル・ワークショップなど展開されているので、少しお早めに足をはこばれると楽しみも倍増かと。

文:山野雄大

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