一人も例外なく仲間を持てる教育が理想的

――子ども自ら学生のうちから知っておいたほうがいいことや学んでおくべきことはどのようなことがありますか?

西川「自分の幸せとは何かということです。例えば、幸せに生きるためにお金がいくら必要か? 結婚すべきか、しないべきか? 就職するとしたらどこで就職すべきか? 先に紹介したキャリア教育の本はその手がかりになると思います。」

――いちばん大事なのは、自分自身の幸せの創造ができる子どもを育てられる教育、という本書の中での言葉にとても感銘を受けました。西川さんが考える今後の理想的な学校教育とはどのような形でしょうか。

西川「一人も例外なく、仲間を持てる教育をすることです。現状でも、人との繋がりを持てず社会からドロップアウトする人は数多くいます。

でも、人との繋がりを持てるならば、人は強く生きられます。それを求め続けた結果、行き着いた先が『学び合い』という教育の考え方であり、方法論です。幸い、この20年間に急激に広がっています。」

――『学び合い』とは、どういうものでしょうか?

西川「『学び合い』は塾・予備校・通信教材が一般化した現在の学校教育だから可能な教育の考え方であり、方法論です。

学校教育の授業の大多数は成績中もしくは中の下に合わせています。成績上に合わせると大多数の子どもがちんぷんかんぷんです。成績下に合わせると、大多数の子どもが退屈します。結果として、成績上の子どもには退屈な授業ですし、成績下の子どもには分からない授業になってしまします。

『学び合い』の授業は自習に近い状態です。だから、板書もないですし、発問もありません。子どもたちが関わり合いながら問題を解決します。

ただし、教師は『一人も見捨てるな、見捨てれば、自分に返ってくる』ことを繰り返し語るのです。

思い出してください。高校3年の時、『こんな授業をするより、自習をさせてくれ』と思いませんでしたか? 本当に勉強するためには自習が一番です。ただ、その気持ちを持てない子どもがいます。

教師が『勉強しようよ』と言えば、勉強する気になりますか? 無理です。友達の『一緒に勉強しよう』という言葉が一番です。

このような理論と方法論を、20年以上、数千人の教師が実践し、洗練したものが『学び合い』です。詳しくは「クラスと学校が幸せになる『学び合い』入門」(明治図書)をご覧ください。」

――「新しい価値観をいち早く持つことが子どもと親にとって幸せになる道」とおっしゃっていますが、新しい価値観を持つ子どもに育てるために、親ができることはどんなことだとお考えですか。

西川「親たちが、新しい価値観にシフトすることです。大人世代の価値観が子ども達の価値観のひな形になります。

小学校、中学校、高等学校の教師の人数は70万人います。教師は単一の職業としては最大の職業です。大きな組織はなかなか変わりません。教師の多くは身分保障されている公務員なのですからなおさらです。

外圧が必要です。そのためにも一人でも多くの保護者が現状を知って欲しいと願っています。そのために書いた本です。」

子どもを守るためには、親も情報を得て学ばなければいけないですね。なるべく早くから子どもに進路を意識させるのには、親の声かけが重要かもしれません。

『親なら知っておきたい学歴の経済学』では、大学や就職、進路選択を取り巻く状況や子どもを守るための方策について、さらに詳しく書かれています。

危機感を持ち、対策を考えるためにも、子どもが小さい今のうちから読んでおくといいかもしれません。

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。