NGな“お別れ”の仕方

「お母さんはいなくなってしまったけれども、夕方には必ず迎えに来てくれる」という安心感を持っている子はあまり泣きません。そこに母親がいなくても、自分の心の中に“母親が内在化”しているからです。

ちなみに幼稚園は3歳を迎えている子が入園できます。この年齢になると、ほとんどの子が母の姿がそこになくても大丈夫になります。けれども保育園は3歳前から始まります。そうなると、“内なる母”がまだ十分確立していない子もいます。

ですから、3歳以下の子を保育園に預けるときに「ママは永遠に迎えに来ないかもしれない」なんて不安感を持たせてしまうと、一日中「心ここにあらず」の状態になりずっと泣いています。

こんな風にならないために、次のような、母親の内在化を阻害してしまう「NGなお別れの仕方」だけは止めてくださいね。

×説明をしない

習慣なのかもしれませんが、保育士は子どもを預かるとき「お預かりします」と言います。

でも、その言葉通り、ママが何も言わずにそれこそ荷物のように、ポンと預けてしまうと子どもは納得しないでぐずります。

「ママはこれからお仕事に行くのよ。●●ちゃんは夕方までここで楽しく遊んでいてね。●時には迎えにくるからね」ときちんと説明しましょう。

×子どもが他の子どもや玩具に気をとられている隙に、逃げるように去る

昆虫のように服にしがみついて泣かれて、保育士から無理矢理引き剝がされて別れるより、子どもが玩具やお友達に気をとられている隙に姿を消したほうが、ママの気持ちとしてはストレスがありませんよね。

でも、ちょっと子どもの立場に立ってみましょう。振り返ってみたらママがいなかったら相当、ショックを受けます。ですから、子どもの目をしっかり見てお別れの挨拶をしましょう。たとえ泣いても、頭ではちゃんと理解していますよ。

×泣いていることを叱る

お別れが悲しくて泣いているのに「いつまで泣いているの!弱虫ね!」とか「甘えてばかりいてはダメ!」「お友達は誰も泣いていないでしょ。あなただけいつまでも泣いていておかしいわよ!」などと叱ってはなりません。だって悲しいのですから。

こんなときは叱るのではなく、「ああ、悲しいね、泣きたいね。いくらでも泣いていいんだよ」と子どもの気持ちを代弁してあげましょう。

大人だって泣きたいとき、怒りたいとき感情に蓋をすると苦しいですよね。子どもも泣きたいだけ泣くことができたら、その後気持ちの整理ができてケロッとするものです。