多くの人が新たな環境に足を踏み入れる新年度。

もちろん子どもたちも新学期を迎え、新しい学校、新しいクラスに胸を躍らせているはずですが……あがり症の子となると晴れない気持ちを抱えている子も少なくないはず。

新学期は自己紹介など、人前で話をする機会が増える時期。あがり症の子にとっては気持ちを揺るがす大問題です。

そんな時親としては、何か少しでも力になれないかな……と悩むところですね。

今回は『あがってうまく話せない人でも大丈夫 10秒で伝わる話し方』の著者であり、気象キャスターの荒木真理子さんにインタビュー。

もともともは多くの人の前で話す機会の多いアナウンサーでありながら、実は自身もあがり症であったという荒木さん。あがり症の効果的な克服方法や、親が子どもに伝えておきたい心構えなどをお聞きしました。

話す内容は10秒ずつに区切ってみよう

ーー荒木さんは著書の中で自分のことをあがり症であるとおっしゃっていましたが、人前で話すアナウンサーになる前からすでに気がついていたことだったのでしょうか?

荒木真理子さん(以下、荒木)「実は、私はアナウンサーになるまで、自分のあがり症に気がついていませんでした。

カメラを目の前にしたら、頭の中にあった言葉がどこかへ吹き飛んでしまって、頭が真っ白になるということが多くあり、たった1分間の原稿でもきちんと繋いで話すということができなかったのです。

しかも同期入社のアナウンサーの子がカメラの前で原稿を読むのが上手で……同期がゆえに比べられることも多く、あの時はどんどん自信をなくしていって、負のループに陥っていましたね。

そんなこともあり、あの時は自分自身に『あがり症』のレッテルを貼っていたな、という気がします。」

ーー荒木さんからまったくあがり症の雰囲気を感じないので意外です! そんな荒木さんが著書の中で話している『10秒で伝わる話し方』について考えるきっかけとなったことはあったのでしょうか?

荒木「私は以前、仙台のミヤギテレビでアナウンサーをしていて、1年目は、お昼のニュースの生中継を担当していたんです。

その時も、現場からの生中継だったのですが、その際に風に煽られて1分間ほどの内容が書かれている原稿が足元に落ちてしまったんですね。

原稿って、1分間で話す内容が書かれているものでも、10秒程度で話す内容がそれぞれ書かれている4枚ほどに分かれているんです。それを拾った時に、『1枚ずつだとうまく話せるのに、続けて読もうとするとうまく話せないんだ』ということに気がついたんです。

私が1分間で話す内容が、小さな文章の集まりであるということをその時に初めて意識しました。

それ以来、原稿は一気に頭に入れようとするのではなく、1枚ずつ、つまり10秒単位に区切って練習することを心がけるようになりました。

短く話すことができないのに、長く続けて話すことは難しいですよね。

例えば、英語の一文をしっかり読めない人が、教科書を丸々1ページ声に出して読んでください、なんて言われてもできないじゃないですか。私はそれをやろうとしていたんだなって(笑)

また、10秒ずつだと練習も隙間の時間など、ちょっとした時にやりやすくなります。

あがって人前でうまく話せないという人は、まずは話す内容を10秒ずつ小さなブロックに区切って、ここができたら次! というように練習することをおすすめします。」