本気も本気な謎の傾奇者ユニット「カブキブロックス」

歌舞伎のアニメだから、主題歌はカブキロックスのカヴァー……企画を考えた方のアイデアマンっぷりに、思わず膝を打ってしまいそうになりますが、この曲の凄いところは、そうした言葉遊びだけに留まりません。というのが、この曲に向かう姿勢が本気も本気! 何と「カブキブロックス」というオリジナルユニットを立ち上げてしまったのです!

カブキブロックスは、それぞれが「天雅(あまみや)」の姓を持ち「雷(らい)」「懐(かい)」「熱(ねつ)」「冷(れい)」「震(しん)」を名乗る5人の男性メンバーによる謎の音楽ユニット。本家のカブキロックスよろしく、白塗りの隈取メイクを施したメンバーのお顔は、あの、凄く、どこかで、見覚えがある気がするのですが……。

ただ、ここでメンバーの正体を明かしてしまうのは、歌舞伎が持つ「粋」の文化に相反する「無粋」というもの。あくまで、「謎のユニット」ということで話を進めさせていただきます。

現在、カブキブロックスの特設サイトでは、メンバーが出演しているMVやCDのアートワークが公開されているのですが、これが文句なしにカッコ良いです。

派手なメイクに着流しというファッションもスタイリッシュですし、ジャケットやロゴが白塗りロックバンドの本家本流である「KISS」のアルバムアートワークのオマージュになっている点も凄くセンスが良い。

各種デザインに関して、単純なパロディという以上に、やっている側の本気な姿勢がヒシヒシと伝わってくる凝った工夫がなされているのです。

エレキギターを前面に押し出したアレンジに注目!

曲のアレンジも現代的で、しかもアニメ作品にピッタリなものになっています。元の楽曲より若干アップテンポになり、ガンガンに鳴り響くエレキギターが前面に押し出されたロックな編曲がなされています。

編曲を担当したのは、ドラマやアニメの劇伴、主題歌に作曲家として、そして、ギタリストとしても参加されている堤博明さんです。アニメ『ローリング☆ガールズ』では、劇中で流れる「THE BLUE HEARTS」のカヴァー曲を担当した方でもあり、既存のロックナンバーをアニソン、声ソンに落とし込む編曲技術の高さは、今回の『お江戸-O・EDO-』もキラリと光っています。

ちなみに、カブキロックスの『お江戸-O・EDO-』は、"ジュリー"こと沢田研二さんの名曲『TOKIO』の歌詞の一部を和風の言い回しに置き換えた楽曲であり、いわば替え歌です。カブキブロックスは、更にそれをカヴァーしている。……つまり、「オリジナル楽曲に対する替え歌のカヴァー」という、ちょっとややこしい事態になっているのですが、そんな複雑な変遷すらチャームポイントに思えてくる、不思議な魅力を持つ楽曲となっています。

アラフォーなら思わずクスリとさせられる曲の選球眼が光る『お江戸-O・EDO-』。

曲を作品に寄せるのではなく、作品を曲に寄せているという点もユニークですし、今期のアニメ作品で、同じ方向性から90年代J-POPのカヴァーを主題歌に使用している『ラブ米 -WE LOVE RICE-』の『浪漫飛行~ラブライスver.~』(オリジナル歌唱は、米米CLUB)と聴き比べてみるのもおもしろいと思います。今期エンディング曲の中でも、何気にオススメの楽曲です!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。