■知高飯(台北)

この竹串を持ち上げて、がぶり。誰がこの誘惑にあらがえようか? 「知高飯」の控肉飯。

豚の脂だけのシンプルなミニ丼もあれば、豪快な肉塊がのったミニ丼もある。控肉飯(コンロウファン)と呼ばれる丼で、その発祥は台湾中部の彰化だといわれている。

彰化の名物ではあるが、台北の寧夏夜市の屋台「知高飯」でも絶品の控肉飯が食べられる。小さな丼に盛られたごはんの上に、串が刺さった大きな肉塊がゴロンとのっている。このビジュアルに惹かれない人はいないだろう。

ひょいと串を持ち上げて肉をかじることもできるし、串から外して柔らかい肉と脂身を少しずつ崩してごはんといっしょに口に運ぶこともできる。

食べ歩き取材の鉄則は「満腹にならないこと」なのだが、ほどよい甘さととろけるような肉の食感に、なかなか串を置けなかった誘惑の屋台メシだ。

知高飯(ズーガオファン)
台北市寧夏路36號(寧夏夜市内)
16:30~0:00 不定休

■老施炭焼肉燥飯(高雄)

炭火焼きの豚肉が香ばしい高雄の老施炭焼肉燥飯(魯肉飯)

台湾南部の高雄や台南では、魯肉飯のことを肉燥飯(ロウザオファン)と呼ぶことが多い。高雄にもそんな肉燥飯の人気店がある。

高雄には、「台北の魯肉飯、嘉義の鶏肉飯、高雄の焼肉飯」といわれるほど焼肉飯の店が多い。焼肉飯とは、そぼろ肉ではなく豚肉の薄切りを白米の上にのせる丼だ。

焼肉飯の肉を炭火焼きにする店が増えたため、高雄ではいつの間にか炭火焼きが定着。豚肉だけでなく、サンドイッチやトーストまで炭火焼きにする店もあるほどだ。

当然、肉燥飯も炭火焼きが高雄人の好み。左營第二公有市場にある「老施炭焼肉燥飯」では、早朝から香ばしい炭火焼きの肉燥飯にありつける。

主人は日本語が流暢で、アラフォー世代でも聞いたことがないような古い演歌をガンガン流し、自ら口ずさみながら注文を受ける。

聞けば、日本語が上手なのは母親が日本人だからだとか。ご主人の演歌と炭火焼きの独特の香りが懐かしさにも似た雰囲気を醸し出す、高雄流の丼メシだ。

老施炭焼肉燥飯(ラオシータンサオロウザオファン)
高雄市左營大路88號(第二公有市場内) TEL:07-5852253
7:30~15:30 不定休(月に2度、月または木)

とっておきの台湾旅行
かんたん台湾華語とコミュニケーション術も

5月20日、6月17日、7月15日、8月19日の計4回(いずれも第3土曜13:00~14:30)、 名古屋の栄中日文化センターで筆者が台湾旅行講座を行います。
TEL:0120-53-8164

みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。