IoTへの期待が最も高い医療分野、不安が期待を大きく上回る金融・消費分野

["\n マカフィーは4月28日、「生活を変えるIoTと消費者意識」と題するレポートを発表した。1月にラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」と2月にバルセロナで開催されたモバイル機器の見本市「MWC 2017」の取材に加え、日本の消費者を対象としたIoTに関する意識調査の結果を、調査会社BCNと共同でまとめたもの。

IoTは生活をどう変える? リモコンは過去のものに?

\n IoT技術の進展がどのように生活を変えていくのか。レポートでは、CESやMWCで出展された機器などの取材を通じ、2020年頃までに起こりそうな生活の変化についてまとめている。まずは、CESでも多数の出展があった注目の技術・自動車のIoT化ともいえる自動運転についてだ。日本でも、政府主導でオリンピックイヤーを目標に「レベル4」の自動運転技術の確立を急いでおり、2020年頃までにほぼ完全な自動運転車が実現できると予測している。また、CESではAmazonの音声アシスタント「Alexa」の対応機器が多数出展されていたことなどから、音声による機器の操作も一般化し「リモコンを探す」という苦痛から解放されるとしている。

\n 健康面にもIoTの恩恵は及ぶ。IoT化した冷蔵庫や電子レンジが、健康管理の側面から食事の内容の記録や献立提案をすることで、特に意識しなくても食の側面から家族の健康管理ができるようになると指摘。さらに一歩踏み込んで、こうした食生活データなどを生命保険の料率計算にも応用できるようになると推測した。そのほか、勝手に掃除するロボット掃除機など「家事の自動化」も進みそうだ。

\n 生体認証の普及で、PCの認証は高精度化している。今後はすべての認証が顔認証で済み、パスワードの管理からも解放されそうだ。リアルな認証である「鍵」も変わる。スマホを活用するスマートロックの普及で、物理的なガキを持たずに家の戸締まりができるようになったり、家族の在宅状況をどこからでも確認できるようになったりする。また、鍵をメールで送ったり、有効期限を調整したりすることで、民泊への応用も期待できる。そのほか、自動翻訳機が普及し、外国語を学習する必要がなくなる可能性もある。言葉の壁のために今ひとつブレイクできない日本のコンテンツ市場が一気に海外に広がる期待も大きい。

\n CESやMWCではIoT関連機器の出展が目立った。自動車のみならずベッドや机、歯ブラシから水筒まで、ありとあらゆるものがインターネットにつながる時代が到来している。こうした環境で問題になるのがセキュリティの確保だ。さまざまな考え方があるが、マカフィーが出展した「The McAfee Secure Home Platform」は一つの可能性を提示した。家庭内にある多くの機器がインターネットにつながる際に必ず通るルーターにセキュリティ機能を搭載することで、家庭の機器を一元的に守るというものだ。「元栓のような場所で一括管理」するというこのプラットフォームは、セキュリティにとどまらず、例えば子どものインターネット利用を一括してコントロールできる、「IoT時代の総合コントローラー」的な機能も備えているという。

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消費者のIoTの理解度は低いがイメージは良い、医療・介護への導入期待が大きい

\n デジタルリテラシーが高い消費者2000名を対象に実施した意識調査によれば、IoTという言葉の理解度は31.8%にとどまった。高い値を示したAI(48.9%)、ウェアラブル機器(42.9%)、VR・AR(41.5%)などに比べ10ポイント以上も理解度が低かった。理解度を聞いた六つの言葉のうちHEMS(13.9%)に次いで低い理解度だった。さらに男女の差が大きく、男性でIoTという言葉を理解しているのが40.6%だったのに対し、女性は14.7%にとどまった。一方で、IoTという言葉のイメージは、近代的(85.6%)、センスが良い(75.9%)、品質が良い(73.2%)と良いイメージが勝っていた。さらに女性がIoTに持つイメージは、品質が良い、高級感がある(男性比+5ポイント)、安全安心(男性比+4ポイント)と男性よりも漠然とした良いイメージを持っている。

\n また、IoT導入に対する期待とセキュリティ的な不安を分野ごとに聞いたところ、最も期待が高かったのが医療・介護分野(39.9%)で、続いて生活家電(37.5%)、住宅・住まい(34.8%)、自動車・バイク(32.4%)、デジタル機器・通信(29.8%)の順だった。一方、現在IoTの導入が進んでいるフィットネス・健康では20.9%にとどまり期待値は大きく下がる。単に体の状態を測定し、記録をするだけの利用から、治療や介護といった、さらに一歩踏み込んだ活用が最も期待されている。エンターテインメントやレジャーの分野での期待度が15.9%と低かったことなどからも、実利的な活用・応用に期待が集まっている。

\n また、IoT進展に伴うセキュリティ的な不安では、住宅・住まい(46.0%)が最も高く、消費金融(41.7%)、自動車・バイク(35.9%)と続いた。さらに、不安を期待が最も大きく上回ったのは生活家電で13.0ポイント差、フィットネス・健康で12.4ポイント差だった。これらはある程度機器への導入が進み具体例がわかりやすいため期待が上回ったと思われる。逆に、期待を不安が最も大きく上回ったのが消費・金融で27.6ポイント差、次いで住宅・住まいで11.2ポイント差だった。具体的活用例がまだわかりにくくメリットが見えにくいうえ、直接的な実害を被る可能性も高いため、不安が上回ったものと思われる。調査した全15分野中、9分野で期待が上回っており、おおむねIoTに対する期待度は高い。

\n IoT導入例として10のパターンで、利用意向を聞いたところ、最も意向が高かったのが「自宅のセキュリティ対策を一つの無線LAN機器に集約する」(67.1%)だった。続いて「自宅の窓に専用シールを貼って開閉を関知しスマホに通知する」(62.3%)、「スマホで自宅内の機器のON/OFFを行う」(60.8%)でそれぞれ6割を超える利用意向があった。一方「ウェアラブル機器で健康を管理したりスポーツの上達を助けたりする」(38.1%)は最も利用意向が低かった。

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メーカー側と消費者側のギャップにIoTの課題

\n レポートでは、消費者の期待と業界が目指しているIoT活用の方向性にいくつかのギャップがあると指摘。今後の課題を掲げている。例えば、医療分野では健康管理に役立てるというライトな利用にとどまらず、治療や予防への具体的な仕組みが期待されている。また生活家電では、利便性への高い一方で、節約への期待も高く、現状ではこれに応えられていないとしている。またレジャー・エンタメ、スポーツ、睡眠といった分野では期待度は2割以下。いずれもIoT関連機器が出回り始めている分野であるにもかかわらず、今後の期待に結びついていない。これもIoTの応用によってどんな価値が生まれるかについて、十分消費者の理解を得られていないのが原因だろう。

\n そのほかの課題としてレポートでは、データ漏洩の危険性を挙げている。さまざまな情報が収集されるなかでも、きわめて個人的な情報も含まれる状況では、データの漏洩は許されない。何らかの対策が必要だが、個々の機器で対策するのではなく、家庭内ルーターに対策を集中させ、一括して管理するのが最も現実的だと指摘。またデータ通信量の増大に合わせ、5G回線などの接続環境の高速化、さらには家庭内の無線環境の高速化も必要だと指摘している。

\n(BCN・道越一郎)

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