撮影:中川良輔

 ガッチャマン、キャシャーン、ヤッターマンなどを生んだタツノコプロの創立55周年記念作品『破裏拳ポリマー』が5月13日から公開される。本作で、元ストリートファイターにして、探偵、そして奥義“破裏拳”を操る主人公・鎧武士(よろい・たけし)を演じた溝端淳平は、今回が本格的なアクション初挑戦となった。

-これまでのイケメンでいい人の役から一転し、今回は初のスーパーヒーロー役でした。オファーが来た時の心境は?

 ヒーローものには一生縁がないと思っていましたし、今回は変身後のアクションもやるということも聞いたので、いいチャンスを頂けたなという感じでした。がっつりアクションもできるし、役柄としても、ちょっと変わったやつという武士のキャラクターはおもろいなと。それで、どこか欠点や隙のある人物というふうに演じてみようと思いました。

-今回はアクションがとても激しかったですね。

 事前にトレーニングはしましたが、細くて締まった体の方がカンフーの動きに合うと思ったので、あまり筋肉をつけないように気をつけました。これまでは、アクションは作品のワンセンテンスとしか思っていなかったのですが、今回坂本(浩一)監督から直々に教えていただいているうちに、アクションも普通のお芝居と一緒なんだなと思いました。アクションは運動能力や動きのキレはもちろん、目線の動かし方や、戦う前にどういう表情をするか、どういうふうに歩くかなどを表現することも大事で、それは普通のお芝居と同じです。だから、お芝居の延長線上で、激しい動きで表現するのがアクションなんだなと気付きました。それが分かったのが今回の一番の収穫でした。

-ハリウッドのヒーロー物は意識しましたか。

 『アベンジャーズ』シリーズのファルコンの吹き替えもやっていますし、大好きです。今回のアクションスーツは、スパイダーマンの物と同じ生地だったそうですが、ぴちぴちで伸びないのでアクションをするのが大変でした。劇中では機能性があるように見えますが、実際は機能しない(笑)。見た目重視でしたね。

-本作には刑事役の山田裕貴さんとのバディ(相棒)ムービーの要素もありましたね。

 山田裕貴くんとは初日の撮影から信頼関係が築けました。女性陣(原幹恵、柳ゆり菜)には監督のサービスカットが多いなと感じました(笑)。神保悟志さんとはアクションスーツの話をし、長谷川初範さんは倉田保昭さんとジェット・リーの話をしてくれました。男は幾つになってもヒーローやアクションの話をすると熱くなりますから、とても楽しかったです。みんな明るくてとてもいい撮影現場でした。続編ができたらいいなあ。

-溝端さんにとってのヒーロー像は?

 つらい時や迷っている時に会いたくなる人。何か元気をくれる人。俳優の先輩、監督さん、地元の友だち、家族…。自分を救ってくれる、いい影響を与えてくれる人はみんな、僕にとってはヒーローだと思います。

-では本作の見どころを。

 ただのヒーローではなく、武士には弱さがあったり、かわいい部分があったり、ポップなところがたくさんあるので、女性や子どもたちにも楽しんでいただけると思います。コメディーの要素とハラハラドキドキするところ、武士の過去についての描写などは心にグッとくるので、とてもバランスのいい映画に仕上がったと思います。実は、変身後もほとんど自分でアクションをしているんです。あまりCGを使っていない生身のアクションが見どころです。かなり本格的なカンフーアクションを堪能できる映画に仕上がりましたので、ぜひご覧いただきたいです。

(取材・文:田中雄二/撮影:中川良輔)