――僕の中でも3DCG技術も含めて作品として印象的だったのが、『LASTEXILE』です。千明監督の代表作の1つだと思うのですが企画段階から参加されていたのですか?

千明:企画の初期段階からですね。

――その頃からヴァンシップを空でCGで飛ばすというイメージがあったんですか?

千明:実はそうでもなくて。一番最初に企画を立ち上げていた(当時社長の)村濱章司さんの企画だと『宇宙海賊キャプテンハーロック』だったんですよね。要するに、大切な人を殺された青年が復讐していく作品だったんですよ。

それで始まっていて、宇宙もので、星と星が近くて、その間に空気が繋がっている部分があって、という話だったんです。村田蓮爾さんや前田さんも企画に参加しはじめて、メーカーのプロデューサーも入ってきて話をしているときに「これでいいの?」ってことになったんですね。

それだったら、もっと気持ちよく飛行機械を飛ばしたいよねって。宇宙ものじゃない方がいいよねって言ったのは、おそらく村田蓮爾さんだったと思います。

自分の中でも少年たちが空を飛ぶ話をやりたいということになって、今の形になったんです。だから立ち上げからはかなり変わっちゃっているんですよね。

――最初から空ありきの企画だと思っていました。

千明:宇宙の方が楽ですから。雲海の上をキャノピーすらない飛行機械が飛ぶ。ハードルが高すぎですよね(笑)

そこで先ほど言ったように『青の6号』や『アギト』『雪風』の技術があるので、もしかしたら雲の上でもTVシリーズが出来るかもしれないと思って実現したという。

――監督自身としては、作り手として3DCG技術があってよかったと思っていますか?

千明:たぶん3DCGがなかったら、飛ぶときにカメラでヴァンシップを追うことになっても、そのときに背景を引くか背景動画しかありえないので、それだと気持ちよくものを飛ばすということに限界がありますよね。

3DCGが使えたということは圧倒的でした。

――そういう意味では3DCG無しでは『LASTEXILE』という作品は…

千明:ありえないですね。

――企画から実際に作られる期間はどれくらいだったのですか?

千明:いまよりはあったような気がしますね。2クールでしたし、シナリオ会議にけっこう時間がかかったので、1年くらいはあったのかもしれない。毎回毎回、8時間とか10時間とかやってましたね。