『メリダとおそろしの森』を手がけたマーク・アンドリュース監督

ディズニー/ピクサーの最新作『メリダとおそろしの森』が21日(土) から日本公開される前に本作を手がけたマーク・アンドリュース監督がインタビューに応じた。

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『メリダとおそろしの森』は長年、ピクサー内で開発が進められてきた企画だ。しかし、ピクサー初の女性の主人公、ファンタジーを思わせる舞台設定、母と娘の物語など、これまでにない“新たな挑戦”がギッシリつまった企画だけに、作品として完成させるために多くの知恵と時間を要した。そこでピクサーで“ストーリー構築のプロフェッショナル”として活躍するアンドリュース監督が参加し、先頭に立った。「この映画で難しかったのは、母エリノアと娘メリダの“バランス”でした。母が横暴すぎてもいけないし、メリダが文句ばかり言っている娘でも困ります。同時に、ふたりを同時に前に出してしまっては『これは一体、誰の物語なんだ?』と観客が思ってしまいます。だから、私が参加して、メリダを主人公に彼女の葛藤や成長を描きながら、他のキャラクターを活かし、ストーリーがうまく流れるように改善していきました」。

アンドリュース監督も、他のピクサーのクリエイターたちと同様、“ストーリーを語ること”を映画作りの根幹に置く。設定やCGや声や音楽が“良い物語”のために機能するように行動し、その努力は映画完成まで続く。「作業の関係上、ある程度の段階でストーリーをかためなければなりません。しかし、私たちは作業の最後に近い工程まで“物語づくり”を続けているんです。例えば、アニメーターが『このキャラクターが、どのような動機で、こんな動きをするのかわからない』と言ってくれることがあります。彼らは私ほど深く物語を知らないので疑問が出るのですが、だからこそ、そこで情報を埋めたり、伝え方を変えたりしていくことがあります」。

アンドリュース監督も、『トイ・ストーリー』シリーズの生みの親でもあるジョン・ラセターや、『レミーのおいしいレストラン』を手がけたブラッド・バードと同じくカリフォルニア芸術大学の出身で、ピクサーの哲学をしっかりと受け継いでいる。と同時に、ピクサーの新たな監督として、これまでにないテイストも提示したという。「僕はこの企画に途中から参加したのですが、結果的にどの1秒をとっても“マーク・アンドリュースの映画”だと言える作品になりました。アクションの要素や物語のバランスとペース、撮影方法にも自分の色を発揮することができました。多くの人たちのアドバイスを材料にしながら、これまでのピクサーにない作品に仕上げたつもりです」。

スタジオの歴史と実績を受け継ぎながら、そこに新たな風を吹かせたアンドリュース監督。彼が『メリダとおそろしの森』で、一体どんな物語を見せてくれるのか楽しみだ。

『メリダとおそろしの森』
7月21日(土) 2D/3Dロードショー