映画人口が多く大衆の娯楽に根づいているフランスは楽観的?

最大の困難は、ラブシーンなど親密な場面の撮影だが、脚本から削除できず、また俳優がマスクを着用するのが不可能な場合(それがほとんどだろうが)、毎回撮影前に検診および体温測定をすることが望ましい(ただし義務ではない)としている。

あとは俳優自身の自己管理に任せるとあるものの、このあたりに関しては共演者同士が同意するかしないかという問題もあるので、微妙なところだ。

またこれらのケアは当然ながら、撮影コストの負担も招く。

たとえば、今夏撮影を予定しているフランソワ・オゾンの新作のプロデューサーは、少なくとも全体のバジェットの15パーセント増しになると見ている。

もちろんこの他にも、ロックダウンの影響で中断を余儀なくされ、コストが膨らんだ作品は少なくないが、保険会社はパンデミックの影響による賠償を認めていない。

こうした事態を受けて、政府の管轄にあるCNC(フランス国立映画映像センター)は、総額50ミリオンユーロ(約61億円)の援助を約束した。

具体的には各作品の予算によりケース・バイ・ケースだが、最大20パーセントまでを負担するとされている。

この他にもCNCは、ロックダウン中に休館を余儀なくされた映画館とインディペンデントな映画館への特別援助、審査を前提にした配給会社への援助、興収税の控除などを実施している。

フランスの場合、CNCのような国立の機関があることと、“文化的例外”として、そもそも映画を含む文化や芸術活動がその他のビジネスと区別されているという背景が、さまざまな援助を迅速にもたらす結果となっていることは忘れられない。

一方、映画館が再開したら以前のように人が戻ってくるのか、という見通しについては、大方の業界関係者は楽観的なようだ。

館内の衛生管理に関する具体的な発表はまだないものの、おそらくすでに公共交通機関で実施されているとおり、密集を避けるために利用できる座席を減らしたり、上映ごとに換気を設けるといった工夫がされるだろう。

その限りにおいて、特に映画人口が多く、映画館で映画を観ることが大衆の娯楽に根づいているフランスの場合、ストリーミングの影響はそれほど深刻にはならないのではないかと考えている関係者が少なくないと思われる。

たしかに、すでに再開したカフェのテラスが盛況なのを見るにつけても、“ライフ・イズ・バック”を待ちわびていた人々が多く、以前と同じように娯楽を楽しみたいと考えていることが、肌で感じられる。

むしろ6月22日以降、夏のバカンスシーズン突入までの期間が短いことの方が、興行関係者は懸念しているようだ。

いずれにしろ、再開してからの状況を見守りたい。