“新しくていつもどおり”のBugLugのライブ

撮影:宮脇 進(PROGRESS-M)

この日のBugLugのライブは、素晴らしいものだった。しかし、BugLugとして特別変わったことをしたのかと言われると、そうではない。

この日初めてBugLugのライブを観た人にも、「BugLugはいつもこんなにカッコいいんだよ」と伝えることが出来るライブ。“いつも通りのBugLug”が目の前でいつも通りにライブをやってくれる、そのこと自体が素晴らしかったのだ。

一聖の事故からの活動休止、4人での活動再開、そして武道館での復活発表……ファンたちにとって長かった1年間、でも信じて待ち続けた末に“変わらない”5人のBugLugのライブを観られることが、どれだけ幸せなことか。それを噛みしめたファンも多いのではないだろうか。

『V.S』『THE DEAD MAN’S WALKING』『SHOW 2 GLOW』とキラーチューンを畳みかける間中、客席ももちろん笑顔で跳びはねるが、実は一番うれしそうなのはステージ上のメンバーだな、と見ていて思った。

撮影:宮脇 進(PROGRESS-M)

優は満足そうな笑顔でギターをかき鳴らし、燕もいつも以上にステージを跳ね回る。一樹は相変わらずの微笑みを見せつつもときに激情をのぞかせ、将海は飄々としながらも汗を散らして全力のドラミングを披露する。『芸術的思想家の片鱗』『Live to Love』などで雰囲気を変えつつ進行するライブを観て、BugLugはやはり5人が最高だな、と改めて思った。

さまざまなカラーを見せつけるBugLugのライブ

曲間の暗転中は、会場のそこここから大きな歓声が降り注ぐ。中でも一聖の名を呼ぶ声はそこかしこから。俯きながらスポットライトの中に進み出た一聖が発した言葉は「俺、やっぱり超元気!!」。

「いろいろ迷惑、心配かけたけど、俺、今なら何でも出来ると思う」と宣言すると、会場もステージ上もうれしそうにニコニコ。久しぶりのライブで緊張すると言っていた一聖だが、この後の『迷子CH』では久しぶり感も一切なく、いつも通りの、いや今まで以上のテンションでカオスなこの曲を披露してくれた。

撮影:宮脇 進(PROGRESS-M)

『猿』では一聖が不在の間4人のが培った経験も見え隠れし、初期の名曲『WGMM』ではファーストアルバムの頃のBugLugも思い出される。きっといくつものBugLugとの思い出を胸に、客席も大きく左右にモッシュし、跳びはねる。

MCではライブについて「こんなに楽しいことがあるんだって改めて思ったよ、ありがとう」と言う一聖。「声出せ!」とコール&レスポンスを繰り返し、そのまま客席の声をイントロにして『骨』に突入。『BUKIMI』『ギロチン』とライブ曲を立て続け、会場の熱を一気に煽っていく。

このパートで見られたような、BugLugの得意とする極彩色の毒のような曲も、『THE DEAD MAN’S WALKING』や『猿』のような風刺の効いた曲も、『迷子CH』のような迷曲も……BugLugの音楽には様々な色があるのだ。光の当たる方角で見える色が違う玉虫色みたいに、さまざまなBugLugをいつも見せてくれる。この日のライブは、そんな彼らの本領がまさに発揮されたライブだったのだろうと思う。

BugLugにとってターニングポイントのひとつだった曲『絶交悦楽論』で本編ラストが飾られたが、5人でのこの曲を聴くのは約1年ぶりか。やはり中央に一聖を据え、左右に優と一樹を従え、燕と将海が後ろを固める、そんなBugLugがこの曲を演奏する姿が、最高にカッコいいと思った。

メンバーから語られたファンへの感謝

ライブ本編が終了してすぐに、客席からはアンコールが上がる。最初こそ一聖のことを心配するような空気もあった客席だが、この頃にはファンたちも満面の笑顔だ。大歓声に呼ばれて再びステージに登場したメンバーたちの中、一聖が満足そうに頷く姿が印象的だった。

ここでメンバーそれぞれから、この日のライブに対する思いが語られる。一樹の「ライブハウス武道館へようこそ!」から始まったMCでは、「BugLugはここで終わるつもりはありません!」と力強く宣言。

撮影:宮脇 進(PROGRESS-M)

将海は「まず、ずっと待っててくれた人たち、今日来てくれた人たち、みんな本当にありがとう! ライブでしか伝えることができないけど、ここにいる人みんなに伝わるようにライブするから」とファンへの感謝を真摯に語った。

燕は「武道館盛り上がってるかー!?」とテンションマックス。「やっと5人でステージに帰ってきました。みんなこれからもついてきてください」と感謝を伝えるも、独特の燕節に客席から笑い声が上がるシーンも。

撮影:宮脇 進(PROGRESS-M)

優から「この1年間、みんなには心配かけました。いろんな想いをしたけど、みんなとオレらの絆はより固くなった1年間だったんじゃないかな?」とアツい言葉が語られると、会場から拍手が。しかし、そんな良いムードを吹き飛ばすように「売れてないグッズがある!」と販売部長ぶりを発揮する優はさすがだ(笑)。ライブ定番の優の物販MCが聞けるのも久々で、なんだかとてもうれしくなってしまった。

一聖は「たくさん待たせたね。俺は帰ってきた! 帰ってきたからにはとことん遊ぼうぜ!!」と会場を煽り立て、アンコール1曲目『ASOVIVA』に突入する。