松方弘樹さんの思い出を語った五木ひろし

 1月21日に脳リンパ腫のため死去した俳優の「松方弘樹さんを偲ぶ会」が6日、東京都内で行われ、発起人の五木ひろし、里見浩太朗が開式前に故人との思い出を語った。

 仕事の都合で会に出席できない五木は一足先に献花し、松方さんの遺影に手を合わせた。五木と松方さんとは共に作曲家・上原げんと氏の門下生に当たる。

 五木は「私にとってのいわゆる兄弟子。私が16、松方さんが20か21の時に初めてお会いしてからもう50数年。ずっと先輩として、兄弟子として見てきました」と長い付き合いを懐古した。

 五木は「松方さんの芸能生活40周年の時、舞台公演をするとのことで頼まれて」公演で歌うための曲「ぬくもり」を提供した。「レコーディングすることなく終わった歌だけど、お兄ちゃんへの恩返しができたかな」と当時を振り返り、「豪快でパワフルで元気な松方さんが天国に行っちゃったのかと思うと不思議な感じ。寂しい思いでいっぱいです」としのんだ。

 また、松方さんの父・近衛十四郎と時代劇で数多く共演した里見は「車で近衛さんの家まで迎えに行くと、まだ学生だった“弘ちゃん”が『いってらっしゃい!』なんて言っていた。お父さんは海じゃなくて釣り堀で、静かにかわいらしくフナを釣っていました」と松方さん親子の“釣り”という共通点を明かした。

 松方さん自身とは「ずっと東映撮影所で同じ釜の飯を食べてきた。一見怖そうな俳優ですが、ニヤッと笑った顔がかわいい。写真のこの顔。かわいいという年じゃないけれど、若い時からほとんど毎日合わせてきた顔ですから」と在りし日を懐かしみ、「感情豊かな青年で、もしかしたら死ぬまで青年だったのかも。もう一度、ただただ会いたかった。その思いだけです」と悔しさをにじませた。