違いすぎて比べられない? 昨今の幼稚園&保育園事情

上記の幼稚園ママたち、保育園ママたちの声から気づかされたのは、多くの場合、両者の間の違和感やイライラは、幼稚園、保育園のシステムの違いや詳しい事情をよく知らないことから生まれるということです。

そもそも、幼稚園が文部科学省の管轄の「教育施設」であるのに対し、保育園は厚生労働省管轄で、保護者が仕事や病気などで日中に子どもを見られない場合に子どもを預かる「児童福祉施設」。

そのため、保育時間をはじめ、保育料の設定、給食の有無、教育(保育)内容などに、さまざまな違いがあります。

たとえば幼稚園の保育料は、どの家庭でも一律のことが多いのですが、認可保育園の保育料は、自治体によって、保護者の所得に応じて細かく設定されています(公立の幼稚園では、所得によって保育料が異なる場合もあります)。

目的や存在意義がまったく違う施設ですから、単純にどちらがいいか比べようがないのです。

入園までのプロセスだけをとっても、大きく異なります。

近年、都市部では認可保育園が不足している地域が多く、働くママにとっては、まずは通える範囲の場所にある認可保育園に入園することが第一関門。ときには第4希望や第5希望の園にも入れず、割高な認可外の保育施設に通わなければならないこともあります。

一方の幼稚園は、よほど人気のある園や受験が必要な園をのぞけば、ある程度、親が気に入った園を選ぶことができます。

特に私立の幼稚園は、勉強に力を入れている園、体力づくりがメインの園、英会話を取り入れている園など、園ごとにカリキュラムに特色を打ち出す傾向があります。そのため、わりと似たタイプのママが同じ園に集まる傾向があるのだとか。

また、専業ママの多い幼稚園では、保育園よりママ同士の交流がさかんですが、その分、人付き合いが大変な面もあります。保育園と違って夏休みや冬休みなどの長期休暇もあるので、その間の子どもの過ごし方に悩むママも多いそう。

そうした両者の違いやおおまかな事情を頭に入れた上で、相手の立場を想像しながら話すと、そこまで違和感を感じずに付き合えるのではないでしょうか。

まとめ:どちらの立場でも、子育ては大変!

今の日本では、とにかく子育ては大変。夫の帰りが遅いワンオペ育児の専業ママは孤独で息を抜くヒマがなく、ストレスがたまるものですし、仕事と子育てを両立する働くママも、子どもの急な発熱や体調不調に怯えながら綱渡りのような日々を送っています。

幼稚園ママには幼稚園ママの、保育園ママには保育園ママの苦労があるので、保育園ママが幼稚園ママに対して働くことの大変さや保育園の便利さを強調して話したり、幼稚園ママが保育園ママに「いいなあ」「うらやましい」を連発したりすれば、やはり角が立ちやすいでしょう。

それより、「私、幼稚園(保育園)のことはよく知らないんだけど、どんな感じなの?」「知らなかったー。それも大変そうだね」と、相手から話を聞き出す方向に話を進めると、印象もよさそうですし、いろいろ教えてもらえて視野が広がりそうです。

うっかり失言してしまったときには、「事情をよく知らなかったから、余計なことを言ってしまってごめんね」などと素直に謝ることも必要でしょう。

子どもにとっては、似たような家庭環境の子だけでなく、いろいろなタイプの子と仲良くすることも大切。

もちろん、あまりにも価値観が合わないママとは、一定の距離を置いて付き合うというのもアリですが、ママ自身も子どもといっしょに、人間関係の幅を広げていけるといいですよね。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。