10月末は「マヤ暦のカレンダーがうんぬんで人類滅亡」と一部で騒がれていましたが、何も起こりませんでしたね。研究者によれば次回のマヤ暦クライシスは12月下旬だそうです。皆さん気をつけましょう(棒読み)。
さて、今回は予言にちなんで“未来を先取りした漫画”について語ってみたいと思う。

不死身の超ビジネスマン『企業戦士YAMAZAKI』 作:富沢順
企業戦士YAMAZAKI サイボーグ・ビジネスマン登場!編
集英社
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過労死したエリート(ヤマザキ)が最新技術でサイボーグとして蘇り、悩めるビジネスマンを立ち直らせる物語。とぼけた顔して超有能なビジネスマン、さらに「名刺スラッシュ」など必殺武器でライバル企業の刺客も倒してのける、日本ならではの異色スーパーヒーローである。

この作品には毎回、業績不振のクライアント企業にヤマザキが新企画をプレゼンするシーンがあるのだが、その中身がすごい。以下に一例を挙げよう。
・材料が小麦粉ではないカップ麺
・タイムシフト録画付きTVレコーダー
・容器を燃やせる缶飲料
・新聞コンテンツの配信サービス
・ペットのレンタルサービス
・液晶ファインダー付きデジタルカメラ

今にしてみれば珍しくないモノも含まれているが、考えてほしい。この『企業戦士YAMAZAKI』が連載されたのは1992~1999年。調べてみると驚くことに、これら商品のいくつかは“現実世界より先に”発表されているのだ。
こうした架空の商品を生み出した作者も、作中の企画を丸パクリした企業があることは知っているらしく、コミックス最終巻あとがきでパクリ企業にむけて「ひと言くらい、あいさつせえよ。ビジネス道を何と心得る」と冗談めかして怒っている。

ちなみにこの作品自体、サラリーマン経験者なら文句なしに笑えて、泣ける。特に最終話のアレは反則である。未読の方には強くオススメしたい。 

東日本大震災を予言? 『私が見た未来』 作:たつき諒

次はちょっとオカルト路線でいこう。今から10年以上前、1999年に朝日ソノラマから刊行されたコミック『私が見た未来』だ。現在入手困難なので、あらすじ紹介はできないが、話題になったのはこの単行本の表紙イラスト。

表紙には一人の少女(主人公か?)がいて、その周囲を「○年○月 ○○が起きる」形式の予言を書いた紙が漂っている。この中のひとつに「大災害は2011年3月」と書かれている拡大画像がインターネットにアップされ、ネット住人が騒然としたのだ。言うまでもなく今年3月に起きた東日本大震災を連想させる。
ただ個人的には、この予言騒ぎの信憑性は低いと思う。ほかの部分は軒並み1990年代の予言なのに、一ヶ所だけ2011年の記述が混ざっているのはいかにも不自然だ。また、震災前から話題になっていたならともかく、このネタが出てきたのは震災直後、しかも情報ソースは某大型掲示板らしい。50%以上の確率で、おそらく震災に便乗したコラ(合成)画像だろう。
もし現物をお持ちの方がおられたらコメント欄などで真相をお教えいただきたい。