バイドゥが開発した自動運転ユニット「BCU」について説明するインテリジェント車両事業部Gu Weihao総経理

["\n 中国・アジア市場をターゲットにしたコンシューマ・エレクトロニクスの見本市「CES ASIA」。2015年の初開催から自動車メーカーが積極的に出展していたが、3回目となる今回は、バイドゥが自動運転のオープンプラットフォームプロジェクト「Apollo」について概要を発表したほか、サーブを買収した電気自動車のNEVSやホンダなど、多くの自動車メーカーが出展。最新の自動運転技術についてそれぞれアピールした。

中国を舞台に自動運転技術の進化が加速する

\n 今年6月7日から9日まで「上海新国際博覧センター(SNIEC)」で開かれた「CES ASIA 2017」のSNIECの1ホールは、さながらモーターショーのような雰囲気だった。出展企業がすべて自動車関連だったからだ。

\n 注目は、バイドウのインテリジェント車両事業部Gu Weihao総経理のキーノートスピーチ。春に発表した「Apollo」について、概要を説明した。Apolloは、自動車メーカーが自ら自律運転システムを開発できるオープン・プラットフォーム。これによって、運転者補助システムや自動運転プロトタイプの開発が容易になる。

\n バイドウは、自動運転のコントロールボックス、BCU(Baidu Computing Unit)を提供。自動操縦に最適なAIアルゴリズムモデルを内蔵したコントロールボックスだ。バイドゥが開発した自動操縦AIモデル「Road Hackers」によって、詳細なバイドゥマップと実際の道路状況の下で、人が運転したデータを重ね合わせたデータをもとに機械学習させ、バイドゥの詳細な地図データをリアルタイムに取得しながら高精度の自動運転を実現した。

\n 自動車メーカーは、各種センサやステアリング、アクセル、ブレーキとBCUをつなげば自動運転ができる、という仕組みだ。会場では実際に、このシステムを搭載した自動運転車を体験できるコーナーも設置されていた。

\n キーノートスピーチでGu Weihao総経理は、「Apolloは、自動運転に関する車体と関連のハードウェアのリファレンスプラットフォームをベースに、オープンソフトウェアプラットフォーム、さらにバイドウのクラウドサービスが連携したもの。7月5日に北京で具体的な発表を行う」と話した。

\n また、今回初出展したホンダは、自動運転機能を持つEVコンセプトカー「NeuV」や、ラスベガスのCESで大きな注目を浴びた倒れないオートバイ、「Honda Riding Assist」などを出展。本田技術研究所 R&DセンターX担当 脇谷 勉 執行役員は「これからはモノづくりだけでなく、コトづくりが重要な意味を持ってくる」として、グローバルでのオープンイノベーションを狙って4月にシリコンバレーで設立した「Honda R&D Innovations」や、従来の枠を超えた新たなフィールドでの価値創造を行う「R&DセンターX」の立ち上げを報告した。

\n 中国について「ITや電動化の領域において、世界をリードする勢いで変化している」と評価しながら、中国でも「オープンイノベーションを加速していく」と話した。また、同社の人型ロボット「ASIMO」の技術をコンシューマ分野に応用する製品も現在研究しているとした。

\n このほか、サーブを買収したスウェーデンの電気自動車メーカーNEVSは、レベル5の究極の自動運転車「In Motionコンセプト」を初公開した。完全自動運転車のコンセプトを示すもので、車を持たず完全自動運転車を活用しながら、人々が自由に移動する未来像を示した。運転席はなく、車を操作するハンドルやアクセルなどもない。移動する部屋というイメージの完全な自動運転車だ。

\n 新たな技術をどん欲に取り入れながら激しく変化を続ける中国は、自動運転技術の開発フィールドとしてとても親和性が高い。今回の「CES ASIA 2017」でも、新世紀の車社会は中国から生まれるのではないかという思いを強くした。(BCN・道越一郎)