「公共の場での授乳」を語る時に投げかけられる「子どもが小さいうちくらいは家にいたら?」「赤ちゃんの感染症だって怖いでしょ」。授乳期のお出かけは、やはり控えたほうが良いのでしょうか。

産婦人科医で【母乳110番】の顧問も務める村上麻里先生に聞きました。

産後ママのお出かけはとにかくダメ?産婦人科医&【母乳110番】顧問が徹底解説!

――「公共の場での授乳」が問題視される時に「なんでそんなに“出かけたい”の?」「赤ちゃんのためにも授乳期くらい家でおとなしくしていたら?」という厳しい意見が寄せられることがあります。

ママのひとりとして困惑してしまうのですが、村上先生は産婦人科医として、また【母乳110番】顧問として、どのようにお考えになりますか。教えてください!

村上麻里先生(以下、村上):「産後の外出」については、外来でもよく聞かれる質問です。

「とにかくダメ!」という意見もありそうですが。

そんな人には「じゃあ赤ちゃんが幼児になるまで、ずーーーーっと家に籠もっていろ、ということか!?」と突っ込みたいですね。

――お医者様から、まず「出かけてもいい」と伺えて、ちょっとホッとしました(笑)。では具体的に、いつ頃から、どんな風にお出かけを楽しんだらいいのでしょうか。

村上:いつまでならダメで、いつからOKというものは、簡単には決められません。

お産も、赤ちゃんも、ママの身体もそれぞれですから。

ひとつの基準として、産後の1カ月健診は「家から病院まで出かける」機会です。

母体については、少なくとも出産後1カ月は横になって寝ている時間を取り、緩んだ骨盤や筋肉の回復を待ちたいです。しっかり休んで、腰痛や恥骨痛、尿漏れなどが残らないようにしたいですね。

でも、人によっては身体が戻るのに2カ月くらいかかります。その間は、家事も、お出かけも無理しない範囲で、になるでしょう。

あまりにずっと家にいてばかりで、誰かに相談もできず、育児の手伝いもいない状態が続くと、産後のウツも心配されます。孤独な子育ては一番しんどいです。周りから声を掛けてもらって、安心するママは多いのではないでしょうか。

とはいえ、外来や【母乳110番】など現場のママたちの声からは、外出で安心するのではなく「よその親子と比較して落ち込む」例や「余計な一言に落ち込む」例も聞きますから、これもケースバイケースでの判断になると思います。

赤ちゃんのお出かけはいつから?どこまで?ママたちの質問に見られる傾向とは?

――ママのメンタルの問題とともに心配されるのが、赤ちゃんの身体への影響ですが、そちらについては如何ですか。

村上:赤ちゃんについては、感染症を心配されることも多いのですが、家にいてもパパが風邪をもらってくることもありますよね?

ですから「家にいる=安全」「外出する=危険」とは、言い切れません。

ママだってインフルエンザが流行している時期に、赤ちゃんを連れて人混みの中を長時間出歩くなんてしないでしょう?

――では、逆に「出かけたほうがいい理由」というのはありますか。