左から、岡村俊一、吉田美佳子、早乙女友貴、Elina、横内謙介 左から、岡村俊一、吉田美佳子、早乙女友貴、Elina、横内謙介

東京・有楽町にオープンする新劇場・オルタナティブシアターのこけら落とし公演『アラタ~ALATA~』が、7月7日(金)に開幕。テープカットセレモニーとゲネプロが行われ、公募で集まった外国人観光客が報道陣とともに新劇場の門出を祝った。

舞台『アラタ~ALATA~』チケット情報

本作は、言葉を極力用いることなくパフォーマンスで演劇のようなストーリー展開をしていく“ノンバーバル(非言語)パフォーマンスショー”。劇団扉座主宰の横内謙介が作を、「あずみ」シリーズなどで知られる岡村俊一が構成・演出を手がけ、サムライアクションディレクターを早乙女友貴、ダンスクリエイターをElina、音楽制作をMiliが担当している。

来場した観客を迎えるのは、忍者に扮したパフォーマンス集団「CRAZYTOKYO」。ロビーや客席の至るところで曲芸やジャグリングなどを繰り広げ、外国人観光客の中にはカメラを向ける者も。上演前に行われる注意喚起の場面でも清掃員に扮した女性パフォーマーが舞台上に登場し、「撮影禁止」「食事は禁止だがドリンクはOK」といった項目を映像とパントマイムでわかりやすく伝えていた。

ゲネプロは、Elina演じるOL・こころの日常を描くシーンからスタート。満員電車に揺られて出勤し、上司から仕事のダメ出しを受け、閉塞感を覚えていく様子を、Elinaは複数のダンサーを従え、緩急ある動きで表現する。そんなこころの前に現れたのは、早乙女演じる戦国時代からタイムスリップしてきたサムライ・アラタ。悪霊と戦っている最中に2020年のトーキョーに吹き飛ばされた彼をこころは元の時代に戻そうとするが、怨霊の玉野尾らが過去から追いかけてきて――。

これまでの出演作で見事な立ち回りを披露してきた早乙女の峻烈な太刀裁きは、本作でも健在。居並ぶ敵を見据え、時には両刀使いで次から次へとなぎ倒していく。また殺陣の中にダンスや蹴り技などのアクションを融合させ、低い重心だけにとどまらない軽やかな身のこなしも披露。戦国時代にはない自動販売機の存在に驚いて炭酸飲料を噴き出し、トイレのウォシュレットを壊してしまうチャーミングな“サムライ”ぶりでも客席を魅了した。

終演後の囲み取材では、横内が終演後の楽屋を訪れたエピソードを紹介。激しい動きの連続に倒れ込んでしまった早乙女とElinaの姿を見て、「豪華な設備で最新技術が投入されている作品だけど、やっぱり最後に我々の胸を打つのは人間の力」とキャストの奮闘ぶりを絶賛した。早乙女は「衣装の中に汗がたまって貧血状態になってしまって……」と照れ笑い。外国人観光客の反応を目の当たりにした岡村は「海外の方にも日本のエンタメが届いた感触がありました」と顔をほころばせた。

「アラタ~ALATA~」はロングラン公演を予定。9月1日(金)から始まる第2期のチケットは、8月1日(火)に発売をスタートする。なお本作は、その日によってキャストが変わる“回替わり公演”が採用される。

取材・文:岡山朋代