NECは、8月1日、8月23日に発売する世界最軽量のウルトラブック「LaVie Z」の技術説明会を開催し、開発の苦労を明かした。

「LaVie Z」は、重さ約875gと世界最軽量のウルトラブック。底面に世界で初めてマグネシウムリチウム合金を採用し、軽量化を実現した。1600×900ドットの高解像度13.3型ワイド液晶ディスプレイと、ストレージとして約256/128GBのSSDを搭載する。

これまで、モバイルPCの重量は1kg前後が普通だった。NECが独自で調査した購入者アンケートでは、モバイル購入者の3割以上が「軽さ」を最も重視する傾向にある、という結果が出た。実際、モバイルPCの重量は軽くなる傾向にある。

コンシューマPC商品企画本部の中井祐介氏は、「2011年、13.3型液晶モデルの重さは1.1~1.4kgほどだった。今年は1kgを切るモデルが登場するはず」と予想する。「そのなかで『ダントツの軽さ』を実現するために、800g台のPCの開発に着手した」という。

新たに機能や部品を追加するのとは違って、薄型・軽量化を実現するには、部品・素材を地道に見直していかなければならない。開発陣がまず着手したのは、素材の見直しだった。そして、軽さと耐久性を両立する合成金属、マグネシウムリチウム合金に目をつけた。

マグネシウムリチウム合金は、モバイルPCなどに使われるマグネシウム合金よりも軽くて剛性が高く、強度を落とすことなく軽量/薄型化できる。しかし、加工が難しく、表面が錆びやすいという欠点があった。NECは、金属表面処理の企業にマグネシウムリチウム合金向けの表面処理技術の開発を依頼。さらに、6社の協力会社と開発体制を構築し、部品の開発に成功した。

商品開発本部の柳澤恒徳氏は「底面の素材をマグネシウムからマグネシウムリチウム合金に変えることで、約16~17gの軽量化を実現した」と説明する。

さらに、底面以外の部品も徹底的に見直した。液晶ディスプレイは、きょう体に直接LEDバックライト、フィルム、ガラスなどを組み込んだ一体型ディスプレイを採用。金属フレームがないので、厚さで0.3mm、重さで4.0gの削減に成功した。このほか、一体型キーボードを採用することで、厚さで1.0mm、重さで15.0gを削減。基板の層数を10層から8層に減らし、軽量・薄型化を図った。

商品開発・商品企画担当の小野寺忠司執行役員は、「今回は底面だけにマグネシウムリチウム合金を使用したが、天板やキーボード部分もマグネシウムリチウム合金にすることで、さらに軽量化できる。また、PCだけではなく、携帯電話への採用も検討したい」と話した。

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