2012年1月、シネックスは「テックウインド」へと社名を変更した。昨年3月にPCパーツ販売のユニティと経営を統合し、再スタートの意味を込めた決断だ。昨年6月にトップを任されることになった王夢周社長は「際だった個性をもつ製品で増収増益を果たす」と断言。法人向けビジネスの拡大も図っていくという。王社長に今後の方向を聞いた。

◎プロフィール

王 夢周(Monchou Wang)

1947年、台湾・台北市生まれ。慶応義塾大学を卒業後、81年7月、ユニティを設立。PCパーツの販売や、台湾大手メーカーのASUSTeK Computerと販売代理店としてASUSブランド製品の販売を手がける。11年3月、シネックスと経営を統合し、6月にシネックスの社長に就任。12年1月、シネックスの社名変更に伴ってテックウインドの社長に就任し、現在に至る。

●個性の強い製品で需要を掘り起こす

経営統合の相乗効果で法人事業を拡大

Q. 今年1月に社名を変更し、何か変化は生じたか。

A. 昨年3月に法人ビジネスに強いユニティと経営統合し、相乗効果を発揮しようとしてきた。社名変更が直接影響したわけではないが、今年4月にユニティの営業部門を当社に移管し、さらに効果が上がると確信している。

Q. どのような分野で相乗効果を発揮していくのか。

A. 当社は、「4C」の追求を掲げている。PCパーツを表す「コンポーネント」、パソコン領域の「コンピュータ」、スマートフォンを中心にした「コミュニケーション」、そして「クラウド」を視野に入れた取り組みだ。この「4C」をベースに、製品・サービスの強化を図っていく。

Q. 具体的に力を入れている製品・サービスは?

A. コンシューマ向けでは、例えばレゲエの神様、ボブ・マーリーの名を冠したオーディオブランド「House of Marley」シリーズだ。高品質とエコを追求したヘッドホン・イヤホン、スピーカーなど、お客様のライフスタイルを豊かにする製品を展開している。デザインもユニークで、こだわりをもつ個人をターゲットにしている。

Q. 際だった個性をもつ製品に力を入れていく、と。

A. その通りだ。コンシューマ市場は厳しいといわれるが、それは販売台数が多いボリュームゾーン向けの製品で拡販を追求しているからだ。これらは、価格競争にも陥りやすい。しかし、日本には1億3000万人もの人がいる。特定の志向をもつ個人をターゲットにしても、需要を掘り起こすことができるはずだ。また、個性の強い製品は、広い販路を確保できる、例えば「House of Marley」シリーズは、Apple Storeでも販売してくれている。

Q. 法人向け事業での新たな取り組みは?

A. ユニティは、PCパーツの販売から派生したビジネスとして、ユーザー企業にBTO(受注生産方式)でサーバーを提供していた。それを継承するビジネスとして、今年4月に自社ブランド「NOWing SERVER」を立ち上げた。まずは中小企業を対象に顧客の開拓を進めている。これまで、PCパーツの販売を中心に黒子的なビジネスを手がけてきたが、今後は取り扱い製品の幅を広げる。

Q. 自社ブランドでサーバーを拡販するには、ノウハウが必要なのではないか。

A. ユニティにBTO部門があったので、製品の開発・検証では、基本的にこれまでのスタイルを踏襲できる。しかし販売では、法人営業部のスタッフを増員するなど、体制の強化に取り組んでいる。法人向け製品の売上比率は現段階で3割。この比率を引き上げていく。コンシューマ向け製品の販売も伸ばしていくので、具体的な目標は立てていないが、両方のビジネスを拡大していくことで昨年度(12年3月期)は横ばいだった業績を改善し、今年度は増収増益を目指す。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年8月6日付 vol.1443より転載したものです。

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