発表会で「エクリア リーン」のトレーニングメソッドを体験した高橋真麻さんとやしろ優さん

エレコムは7月12日、東京・渋谷のイベントスペース「TRUNK BY SHOTO GALLERY」で、7月中旬に発売するコードレスEMS機器初の部位別モードを搭載したEMS機器「エクリア リーン」の発表会を開催した。

税別価格は、本体とコアパッド1枚をセットにしたスターターセット「HCT-P01xx1シリーズ」が7690円、本体2個、コアパッド1枚、ツインパッド2枚をセットにしたフルセット「HCT-P01xx2シリーズ」が1万4120円。

新製品「エクリア リーン」は、大人の女性の美容をサポート

「エクレア」は、エレコムが新規事業として注力するヘルスケア機器のシリーズで、これまで“大人女性の癒し”をコンセプトに目もとケアやボディケア関連のアイテムを発売してきた。今回、リリースするEMS機器は癒しに加えて、大人女性の“美容をサポートする”という目的を盛り込んだ。

25年前にEMS機器をフィンランドで購入したことがあるという葉田順治 取締役社長は「当時のEMS機器は全く効果がなかった。どうしてだろうという疑問をずっと抱えていたので、開発時はイノベ―ティブな革命を起こそうという気持ちがあった。業界に革命を起こせるような画期的な商品に仕上がった」とコメント。世界的に人気の「SIXPAD(シックスパッド)」を中心にEMS機器界隈が盛り上がっているが、そこに一石投じる完成度だと自信をみせる。

商品名の「リーン」は「細く、引き締まった」という意味だ。多くのEMS機器は“全身ムキムキのマッスルボディ”を目指しているが、「エクレア リーン」は明確にゴールのイメージが異なる。腹筋全体ではなく、へそに向かって伸びる縦線、アブクラックスに重点を置くので、本体が小さく縦長なのも特徴だ。

商品開発部 エレコムヘルスケア課ヘルスケアデバイスチームの岩井眞琴氏は開発に当たって「腹筋女子」という若い女性の間で飛び交っているキーワードに注目したという。

「多くの女性が『#腹筋女子』というハッシュタグとともに、Instagramに自身の腹筋を投稿している。すでに投稿数は8万件を超えるが、目標としているのは“痩せているだけでなく、引き締まった身体”」。岩井氏は理想のボディを実現するために、二つの画期的なアプローチを試みた。

ひとつは、ウエイトなど負荷をかけた無酸素運動で鍛えられる速筋ではなく、低負荷な有酸素運動で鍛えられる遅筋に刺激を与えるプログラムで設計したことだ。弛緩周波数帯20~30Hzを組み込むことで遅筋にアプローチする。速筋は筋肉を肥大させるが、遅筋は脂肪を効率的に燃焼するので、引き締まったボディをつくることができるという。

二つめは、コードレスEMS機器として初めて「部位別モード」を搭載したことだ。女性は男性と比較して内臓脂肪が少なく、皮下脂肪が多い。脂肪は電気が通りにくいため、厚ければ厚いほど高い周波数は必要になる。

例えば、皮下脂肪の多いお腹周りだと2000Hzの刺激では筋肉に届かないが、これを5000Hzまで高めるとしっかり筋肉を刺激することができる。一方で、二の腕など皮下脂肪が少ない部位だと最適な周波数は2000Hz。検証機関THFによると、二の腕を2000Hzで刺激した場合、5000Hzの場合と比較して、約4.8倍のトレーニング効果が出たという。

「エクリア リーン」はそれぞれの部位で最適な周波数に調整できる四つのモードを搭載。腹筋、お尻、腕、背中、太もも、ふくらはぎ、と各パーツで効果的なトレーニングをすることが可能だ。

使い勝手でも既存のEMS機器の弱点を解消する工夫が随所に凝らされている。まず、肌と密着するゲルパッドは300回の水洗いが可能。一般的なEMS機器が電極部を覆う小さいものであるのに対して、「エクリア リーン」は本体裏面全体をカバーする。隙間なく肌にくっつくので、激しく動いても本体がズレたり取れたりしづらい。

インターフェースもユニークだ。三つのボタン(電源/モード切替、強ボタン、弱ボタン)を備える本体はパッドと分離可能で、場所を選ばず充電ができる。小型・薄型なので、外で服の下に装着していても目立ちにくいことも女性にはうれしいポイントだ。強弱調整は15段階と細かいので、自分のレベルに合わせた使い方ができるだろう。

これまでの「エクリア」シリーズは、女性向けとしつつも単色のシンプルな配色だったが「エクレア リーン」は多彩な色で構成した振り切ったデザインを採用。シリーズの一部は、従来のエレコムの販路である家電量販店やネットショップに加えて、ヴィレッジバンガードやFrancfrancなどの雑貨店でも展開しているが、今回のEMS機器はさらに取扱店舗数を増やすという。「エレコムといえばデジタル周辺機器」のイメージを切り離し、新規顧客を獲得できるか。その成果が新しい事業の柱として期待するヘルスケア事業の成長を占うことになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)